月別アーカイブ: 2009年10月

ザリガニ何色?

今年もオールスタークラシックの「塊」ブースに出展する為、
ここの所毎日工房に篭っているので、これといってネタもなく今日もカラーの話しです。
突然ですが、ザリガニが魚から見て何色に見えるか知ってます?
自分は魚になった事がないので判りませんが(笑)、
専門家によると「緑色」なんだそうです・・・。
ワカメ食べ過ぎたとか、そういうんじゃなくて、
根本的に人間とは目の構造(色素とか)が違うので、
同じ物を見ても、同じようには見えないんだそうです。
まあ、人間から見ればシマウマが迷彩には見えない訳で、
なんか、そういうモンらしいです。
この話しとは関係あるような無いような話しなんですが、
このカラー知ってます?

ノーマンの「ファントムグリーン」ってカラーなんですが、
ルアー作りを始めた頃、某エリートプロからの電話の中で、
「ノーマンのさ、ファントムグリーンって知ってる?」
「知ってるよ。つーか持ってるよ。 よく釣れるよね~アレ。」
「あの色でさ、例のクランク作れないかな?」
「それにはまず、バルサを透明にする方法を考えてくれ。」
「あ、そっか。そういう事か・・・。何とかなんないかな?」
「なんとかって?」
「同じじゃなくていいんだよ。似たような効果が出ればいいと思うんだ。」
で、色々やってみる事になりました。
まずこのカラーは水中で周りの光を受けて、こんな感じで光ります。

まあ、光が屈折したり、ボディ内部の空間で反射したりする訳です。
泡(空気の塊)が白く光るのと同じようなモンですね。
巧く説明出来ません(工房にずっと篭っていると言語野が著しく低下してしまうので)が、白のような発色性のある下地色ではなく、かといってクロームのようなレベルの出た反射でもない、ヌメッとした光り方をするベースカラーに染料系のオリーブグリーンがキモだと思われました。
で、完成したのがこのカラー。

「スナブノーズM5 グリーンナスティ」
当初は「メタリックウォーターメロン」なる長ったらしい名前を付けてましたが、
気がつくとアメリカでは「グリーンナスティ(汚れた緑)」という名前で呼ばれていました。
まあ、こういうネーミングセンスは無いに等しいので、成すがまま、胡瓜がパパになってます。
見ての通り地味目なカラーですので、これから水温が下がりプランクトン濃度が落ちてクリアになったシャローで効果的だと思います。
これでまた取り扱い店様に叱られる訳です。
「補足説明の要るカラーばっか作ってんじゃねえ!」

カラー選び

ルアーのカラー選びで悩んだ人は多いと思います。
釣りの最中はもとより、お店で購入する際、最も悩むのがカラーではないでしょうか。
まあ、ルアーのカラーがそんなに釣果に影響するの?って否定的な人も居ると思います。
でも、これだけカラーがあると「気にしない」なんて言いながらも気になる訳で、
「ああ、もうなんか面倒くさいし、失敗したくないから、誰か”コレが絶対!”って奴教えて!」
「そもそも誰だよこんなにカラーとか考えた奴!商売っ気出してんじゃねえよ!」
なんて事を考えたりもしてしまいます。

写真のカラーはシマノのマッドパピーで採用したレッドシャッドというカラーです。
B7やスナブでも採用しているウチの看板カラーのひとつですが、
FDのテスト中に自分で塗ったこのカラーのマッドパピーで爆釣してしまい、
マッドパピーのカラーラインナップとして徴発されたものです。
しかし、このカラー、実はKTWオリジナルではなく元ネタがあります。

ラパラのラトリンファットラップRFR-4です。
このラトリンファットラップは非常に優秀なルアーなのですが、
例によって人気がなく、あまり騒がれる事もなかった日陰者でした。
当然流通量も少ないので、見付けると即買状態だったのですが、
この時購入したのはブルーバック/チャートとファイヤータイガー、そしてこのカラーでした。
まあ、普通に良いカラー2個と、どうでもいい感じの3個を購入出来たわけです。
で、早速釣りに行く訳ですが、やっぱり所詮人の子、
先ずはどうでもいいカラーから投げてみる訳です。
生産も終了していて、輸入量も少ないルアーですよ?普通に弾をケチる訳です。
やっぱラトリンファットラップ釣れるわ~って感じで調子に乗ってきた所で、
「こんな訳の判らんカラーでこれだけ釣れるなら、一軍カラーどれだけ釣れんのよ?」
と投げてみると、何故かバイト数も少なく、食いも浅い状態に・・・。
「ん?流石に飽きた?それともパターンが変わった?」なんて知ったかぶって元に戻してみると、
またまた釣れちゃう訳です・・・。
「??????」となりながらも、釣れるので辞めらんない。
やっぱりカラーは釣果に影響し、その状況毎に良いカラーも違うと思い知らされた訳です。
それ以来、ルアーを買う時は必ず、「一番欲しいカラー」と「絶対選ばないカラー」を買う事にしています。
また最近では新製品情報にも疎いので(釣具屋としてどうなんだろ?)、
大抵人気カラーは棚に無い状態から選ぶ訳です。
まあ十代の頃からお客様優先という立場で生きてきましたからね。
でも、そのお陰で随分と色んな経験をさせて貰いました。
「自分では絶対選ばないカラー」をこのメーカーはどういう意図でラインナップに加えたんだろう?
どんな状況で効果を発揮するカラーなんだろう?
そんな事を考えながらルアーを投げてみるのが趣味になっています。
ウチの無駄に多いカラーラインナップはその結果だったりします。
今までに何色塗ったか・・・

覚えてません(笑)!

鬼才!

またまた八郎潟からロデオによる釣果報告頂きました。

カラーはコレ

Rootbeerです。
実はもっとも好きなカラーのひとつで、アメ物ルアーでもたくさん持っています。
釣ってくれたのは”鬼才”FD-CUSTOMさん。
以下頂いたレポートです。

2日間のスケジュールで行って来ましたが、初日はFlamingoの最終テストとプライベートの釣りで楽しみました。
初日、水温は17~18℃
2日目は台風の影響で断念^^;
それでもロデオドライブType-Cで楽しんできました!!
写真のBassはお昼頃、第3ポンプのディープエリアで。
台風前で、北風も強く、物凄く寒く、日が完全に昇り水温が上昇するまで横の動きのルアーには無反応でしたが
暖かくなってからBassの活性も上がり、クランクへの反応が出始め、巻物の釣りで熱くなれました☆
釣果は一日で10本ほどでしたが、86とは言え、今はどんなルアーでも釣れるというワケでもなく。。。
ぶっちゃけると巻物というより、まだ夏を引きずった感じのBassが多かったような・・・
RATTL’N VIBE65Sのカーブフォールなどが強かったですね^^;
中には完全に秋パターンもBassも釣れましたが、いまいちハマったつりは無かったです。
今回の台風が過ぎてしばらく経てば状況もかわってくると思います。
案外11月中旬まで巻物で楽しめそうです。
いつかType-Cと同じレンジを通せるType-HR?(ハーフラウンドラウンドリップ)も作ってください☆
86のリップラップにもってこいです☆
あと、僕のクランクもテストを終えました。
見た目は同じでも春用と秋用の味付けをしました。
こちらも完成したらスイムチェックしてお送りしますので試してみてください☆
スイムチェックでペケなら少し遅れますが^^;
また、報告します!

FD-CUSTOMさんは市販ルアーのチューンやリペイントもやるビルダーさんで、
NLWやGRAYZと並ぶ超ド級の変態です(笑)。
特に桧原湖のスモールや八郎潟に精通していて、
彼の作り出すルアーに魅了されているアングラーも数多くいます。
最近流行りの”動かない系”など、
知らず知らずに彼の興したムーブメントの恩恵を得ている人も多いと思いのではないでしょうか。
自分的には彼が数年掛かって開発しているオリジナルクランクに興味津々な訳で、
首を長~~~くして完成を心待ちにしているファンの一人でもあるのです。
FlamingoにThe Back Fire!。
超楽しみなクランベイト達です。
FD-Custom Baits
http://fdcolors4.exblog.jp/

メタニウムMgカスタム

たまに聞かれる事があります。
「そのリールってイジってます?」
「そのハンドルってステラの奴ですか?」
メーカーのインストラクターである以上基本ノーマルなのですが、
”夢屋”のパーツを使ったり、気に入ったケミカルを試したりする事はあります。
で、自分好みにパーツを組んで、ケミカルチューンで巻き感度を目一杯上げた、
いわば”ツカケン専用クランキンカスタム”(笑)にしているリールもあります。

このメタMgについているハンドルは”夢屋”で出ているパーツで、
れっきとしたベイト用のツマミです。
「夢屋コルクノブ TYPE3ショート」
圧縮コルクで出来ていて、触った感じもとても気に入っています。

このコルクハンドル、昨年かなり真面目にテストした物で、
軽く、手の中で遊ぶ位軽く摘んでいても、
フッキングとかのインパクトの瞬間にはすっぽ抜け難い形状をしています。
見た目には判らないお洒落ポイントもあります。
コレ↓

構造上何の変化もないんですが、「専用」というからには赤くないと・・・。
まあ、外からは見えないけどエンジンのヘッドが赤いとか、そういう感じです。
本当はツノとかも付けたかったのですが、
どう考えても親指に刺さりますので辞めました。
チューンに使う三種の神器はコレです。

IOSファクトリーの01、02オイル、そしてグリースです。
ここの社長さんとは2月にお会いしましたが、
正に”オイル馬鹿一代”
普通じゃありません。
先ずはリールをバラして、各部を脱脂し、馬鹿なオイルで組んでいきます。

脱脂したメインギア。
歯面のみにグリスを塗布していくわけですが、
このグリスが非常にヤバイ。
何がヤバイって、普通メンテした後、使っていくとグリスが劣化し、
滑らかさは下降線を辿っていく訳ですが、
このグリスは暫く使っていくうち歯面を滑らかにする特性があり、
巻き心地が上昇線を辿ります。
で、この一番良い状態を維持してくれるのですから、
億劫でメンテナンスをサボリがちな自分にはとてもありがたいグリスです。
メインとピニオン周り、そしてレベルワインド連動ギアの歯面にグリスを塗布します。

案外大事なのはこの部分。
メインギア軸受けの部分は普通グリスアップされていますが、
一度バラして脱脂し、02PROという粘性の高いオイルをさします。
このオイルは負荷が掛かった状態でも逃げ難く、
揮発性が殆ど無いので、オイルならではの軽い巻き心地を長く維持出来ます。
同じようにレベルワインド周りを02PROで組上げ、
ギアの歯面のように面圧が掛かる部分をグリス。
回転の滑らかさが必要な部分を02PROで組み、
軽い巻き心地になるように仕上げていきます。
もちろんハンドルノブ内も硬いグリスから02PROに代えて、
ハンドルツマミがクルクルと軽く回るように組上げます。
こうする事でリールはとても鋭敏になり、
巻上げ中の僅かな抵抗感を感じる事が出来るようになります。
元々敏感なメタMgですから、このチューンを行えばさらにセンシティブになる訳です。
キャスト(スプール回転)に関係する部分には01PROを使います。
スプール両端のベアリング、スプールシャフトとピニオン内部等です。
この01PROはとても面白い特性を持っていて、回転数によって粘度が変化します。
つまり高回転では高粘度となり、低回転では低粘度になる訳で、
これをキャストすると前半は高回転を抑えてバックラッシュを防ぎ、
後半はス~~~~っと伸びていく訳です。
遠心ブレーキタイプであれば通常より確実にブレーキブロックを減らした状態で使えます。
カバークランキンでは通常3~4個使っていたブロックが、
最近では2個以上使う事がなくなって来ました。
おまけに使用ブロックが少ないので、そのままの状態でロングキャストに以降出来ます。
何より揮発する事が殆ど無いので、釣行の度に注油する必要もなく、
結構長い時間メンテナンスフリーで性能を維持する事が出来ます。
メンテと言えば重要なのがこの部分↓

「シ○アか!?」
なんのこっちゃな画像になってしまいましたが、
ブレーキブロックが接触するブレーキドラムの話しです。
よくこの部分の油分をよく拭き取ってと言いますが、
絶対にやってはいけないのが、パーツクリーナー等で脱脂する事です。
「ティッシュでよ~く拭き取って」も油分は少し残りますが、
パーツクリーナーで洗うと完全脱脂の状態になります。
よく「ブレーキブロックが摩擦熱で変形した」という報告を聞きますが、
大抵はこのドラムを完全脱脂した事が原因である事が多いです。
もし汚れが酷くてパーツクリーナーを使った場合は、
必ず、純正オイルを薄く伸ばしてから拭き取ってください。
くれぐれも、ティッシュと脱脂は別物です。
ちなみにIOSはリールのチューンとしても有名ですが、
オイルやグリスの単品販売もやっています。
知らなかった方、興味のある方はコチラ。
『IOS FACTORY』

USツアープロ

既にご覧になった方も多いかも知れませんが、
今シーズンの全日程を終えた桐山孝太郎プロがエリー湖畔でその心境を語っています。

今年は桐山にとってあまり良いシーズンではありませんでした。
昨年エリート初優勝を決めたレイク・エリーを始め、
得意とする北部エリアの試合が全てなくなり、かなりの苦戦を強いられました。
そしてエリートシリーズ終了後はそのままオープンに出まくり、
見事2位でクラシック出場権を獲得しました。
これで地元アラバマで開催されるバスマスタークラシック2010に出場出来る訳ですが、
桐山にとって決して有利な条件とは言えません。
なぜならアラバマ在住のプロは桐山以外にも多く居ますし、
レイレイクは必ずしもビッグゲインが狙えるレイクではありません。
あのショボいレイグラスを巡って、世界一の猛者達が凌ぎを削るのが想像できます。
しかし後ろに見えるレイク・エリー。
ミシガン、オンタリオ、スペリオール、ヒューロンと並ぶ五大湖の一つです。
この水系全域は冷帯湿潤気候と呼ばれ、
かのシカゴ(イリノイ)の別名がWindy Cityと呼ばれる事から判るように、
とにかく風が吹き荒れる湖です。
この宇宙からも見える大きな湖に風が吹けば、当然信じられない程荒れる訳で、
それは一番小さくて浅いエリーとは言え、日本人が経験した事のないレベルです。
初めて桐山の自宅を訪ねた時、エリーから帰ったばかりの桐山のボートはボロボロでした。
エレキのバウンスバスターは吹き飛び、デッキ各部のハッチはちょう番もロックも外れガタガタに。
聞けばレイクエリーの荒れ方は半端ではなく、とてもプレーン出来るものではないそうで、
数メートルある波を文字通り乗り越えながら、何時間も掛けてスポットを目指すのだそうです。
(以前別のメーカーのボートに乗っていた頃、
プラを含めた一週間でガンネルビスが全て折れて廃艇になった事すらあるそうです。)
びっくりしたのはエンジンで、なんとキャビテーションプレート(スケグではなく)が欠けてしました。
「そんなに浅い所を航行するのか?」と聞くと、
「違うよ、普段は水深あるんだけど、荒れると波の低い所は水が無くてボトム打っちゃうんだよ」と。
それほどまでにボートを苛め抜くレイク・エリー。
当然それを操る人間への負担も半端ではありません。
冬の日本海のような波の山にボートで登っていき、数メートル下に叩き付けられる。
普通の人間なら手足が震え、救助を待つような状態です。
何度も船ごと波に押し戻され、それでも前に向いてアクセルを踏む。
既に操船テクがどうとかよりも、いかに根性が座っているかという世界です。
事実、昨年この湖で優勝した桐山を祝福に来たKVDは、
「お前の方がチ○コがデカイ!」と肩を叩いたそうです(笑)。
今回アップされた動画では、そんな波との格闘による疲れと、
シーズンの張り詰めた状況から開放された安堵感を感じる事が出来ます。
友人なら当然「大丈夫か?」「無理するな」と声を掛けたい所ですが、
それは奴に「バスプロを辞めろ」と言ってるのと同じです。
それでも、今年も無事にシーズンを終えてくれた事に、ただただ安堵の二文字です。
コータ!お疲れ!