投稿者「塚本謙太郎 (mibro & KTWLURES)」のアーカイブ

専用設計の先の汎用性

先日とある知人から「これまで色んな専用ロッドを手掛けてきた塚もっさんが、自分のブランドでバーサタイルって、それって進化なの?退化なの?」と聞かれ、そういえばあまり他人の評価とか、自分がどう思われているかとか気にしてなかったなあと今更ながらに思いました。

なので今回はここに至った自分の中の心境を少し語ってみたいと思います。

 

確かにこれまで手掛けてきたロッドはどれも専用色が強い売り方をされてきたように思います。しかしそれはそれまでの日本の市場に欲しいと思ったロッドがなかったからで、かといって海外物の大雑把な作りの物は日本の釣り場で使うには繊細さが足りないなあと感じるものばかり。なので一見専用色の強い特殊なロッド達に見えても、その根底にあるのは「使い易い道具」でした。

そう使いこなせば特別な力を授けてくれるスペシャルなアイテムではなく、普通に使い易く、2、3日連続で使っても疲れない手足のような道具。

そんなロッドがないから作っただけの話。なので特別専用ロッドに思い入れがある訳でも、専用ロッドこそ正義と思っているつもりはありません。ていうか特別変わった竿を企画してたという感覚すらありませんでした。

実は今回手掛けたNomadシリーズ、いわゆる”バーサタイル系の何でもロッド”と言った事は一度もありません。

コピーライターではないのであまり上手に表現出来ていませんが、Nomadが目指したのは”専用設計の先にある汎用性”

例えばある釣り方を徹底的に追及したロッドであるはずなのに、そのロッドは他の釣りにも非常に使い易く、気付けばいつも、何をやる時もそのロッドばかり使っている。そんなロッドに出会う事があります。

また、アメリカのバスプロが同じロッドを何本も使っているのを見る時があります。それらの多くは自身のシグネイチャーモデルだったりするので、プロモーションも兼ての事かも知れませんが、プロ達が自分の釣りのスタイルに合わせたロッドをデザインした場合、それはそのプロにとってどんなロッドよりも使い易く、ルアーやスタイルが多少変わっても、ロッドの強さや調子が変わってしまうよりコントロールし易いのだと聞いた事があります。

Nomadを手掛ける前にアメリカンロッドを色々と触ってきましたが、メーカー推奨ではクランキン用となっているロッドが案外ライトテキサスや軽めのジグに良さそうだなと感じたり、ワームやジグ用に設定されているロッドが実は巻物用としてとても使い易かったりと、アメリカンロッドのバランスを多少弄ってやるだけで日本のフィールドでとても使い易くなる事を見つけました。

なので自分がロッドを1から作るのなら、どんなロッドよりも使い易く、同じ番手を思わず何本も所有したくなるロッドを作ろうと思ったのです。

 

そもそもロッドを構成するメインパーツであるブランクには、その特性を決める部分としてマテリアル(素材)、テーパー(芯金の形状)、パターン(裁断、巻数、目付の角度など)などがありますが、それらの組み合わせ次第では、異なった2つの特性を共存させる事が可能な時代になったと感じます。

それは昔に比べてカーボンの質が上がったり、パターンの設計やローリングの技術が上昇した事により、昔とはまったく違うブランク成型が可能になってきたからだと思います。

昔の竿は「低弾性カーボンはトルクフルでよく曲がり、巻物に良いけどちと重い。だけどこれにしか出せないアクションと巻物投げてるって感じが最高!」とか、

「高弾性カーボンは超軽量で高感度、競技仕様のカリカリ仕様で折れやすいので素人には扱えない」とか、そんな分かりやすいキャラクター設定がなされていました。

しかし、今はロッド製造技術やガイドシステムも大幅に進化し、巻物に必要なフレキシブルな曲がりと、ソフトベイトに不可欠な繊細な操作性を併せ持つロッドというのが作れてしまう時代です。

キャストの難しいタイニークランクベイトやフラットサイドクランクなどは、いわゆるクランキンロッドと言われるトルクフルなグラスロッドよりも、フレキシブルなカーボンロッドの方が風が強い日でもキャストし易く、操作性もフッキングも良く使い易かったりしますが、そんなロッドはテーパーとバランス次第ではプレッシャーの高いシャローカバーに小さなノーシンカーワームやスモラバ、軽量ドロップショットなどを撃っていくフィネスアプローチロッドとしても非凡な性能を併せ持たせる事が可能です。これはロッドの進化だけでなく、ベイトフィネスなどのリールの進化による恩恵でもあり、日本のバスタックルが常に進化し続けている事の証でもあると思うのです。

”自分の欲しい道具を作る”

ロッドのデザインというのは釣り人にとって最も楽しい時間だと思います。だからこそ釣り人は持てる知識や経験を動員して細部にまでアイディアを盛り込みます。

しかし、それが出来るのは全ての権限を持つ者だけ。

どんなに素晴らしいアイディアや熱い想いをぶつけてみても、そのプロダクツを決定する権限がなければそれが採用されるとは限りません。

プロダクツの仕様を決定出来るのは、決済の権限を持つ者だけなのです。

どんなにその有効性を熱弁したところで、会社に「儲からない」とか「技術的に無理」とか言われれば引き下がるしかないのが”持たない者”の宿命なのです。

そういう意味では悔しい思いで引き下がった事が過去十数年で何度もありました。勿論自分にそれだけの説得力も宣伝力もないので意見が通らないのであろう事は重々承知ですが、アイディアを出した側としても自分が欲しいと思う部分が100%満たされないのはあまりやりきれる物ではありません。

こうして自分は自分の”欲しい”という欲望を満たす為だけに、決済の権限を持つ側になりました。

 

Nomadシリーズには最初から完成イメージがあって、それを実現する為にはどうするか、という手法で取り掛かった為、常に一寸先は闇、飛び込んでみないと分からない状態ではありました。でも、B7やバレットヘッドのようにまず完成イメージがあり、それが欲しいから作るという目標があれば例え壁に当たっても決して方向転換する事なく、真っすぐ突き破るしかありません。それがどんなに非効率であってもブレさえしなければいつかは完成します。

ロッドブランドをメーカーとして始めるというのは、既存のブランクを買ってきてグリップやガイドを取り付けるのとは訳が違います。よく「Nomadはどこのブランクを使ってるんですか?」と聞かれますが、ブランクに限らずグリップのEVAやハイカコルクに至るまで、向こうの技術者と顔を突き合わせて図面を睨めっこしながら設計するNomadオリジナルブランクとパーツです。

 

Nomadの初期イメージ段階で、1本のロッドでオカッパリをやる事も、ボートフィッシングで同じ番手を何本も揃えてデッキに並べる事も想像しました。

巻物とフィネス、ジグ撃ちとフロッグ、フリップとビッグベイト、異なったアプローチを同じシャフトで完璧に遂行するには、専用ロッドの何倍もの緻密な設計が必要です。

まあ元々ロッドビジネスに関しては自分が心から納得いく物を作りたいと思っただけで、自分と仲間達が満足すれば大して売れなくてもいいや、という気持ちで始めました。

でも、今ではそんなNomadのコンセプトを知ってか知らずか、同じ番手を複数本所有しているというアングラーに多く出会うようになりとても嬉しいです。

勿論ウチの商品を買ってくれたという嬉しさもありますが、自分達のコンセプトを理解し、自分達と同じ楽しみを共有してくれているというのがとても嬉しいのです。

今シーズン、Nomadを買ってくれた全ての皆さんに、心より感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

色々細かい部分で足りない部分もあるかと思いますが、これからも皆さんと釣りを楽しんで行けたらと思っております。

 

Tuned or Normal

発売以来たくさんの方にお買い上げ頂いたGUPPY110ですが、結構多い質問に「どんなチューニングされてますか?」とか、「どういう時にどういうチューニングしてますか?」というのがあります。

ぶっちゃけ自分は殆ど全くチューニングという物をせず、基本ノーマル状態で使ってます。

元々オリジナルのグッピー(バルサモデル)は基本性能の高いミノープラグです。よく飛んで、浮力が高く、ゆっくり巻いてもよく泳ぐ、というのがグッピーの本質なのです。

mibro(インジェクション)版 グッピー開発ではこのオリジナルモデルの良さを引き継ぎ、使い易く、よく釣れるルアーとしてテストを進めてきました。

まず一番の特長は太いテール部分で、それ自体が比重を持つ為、ゆっくり巻いてもクランクベイトのように大きなタービュランス(後方乱流)を生み、濁りやローライトでも水ヨレで魚の側線にアピールします。

また、その太いテールのお陰で重心が後ろにあり、普通にキャストしても圧倒的な飛距離を叩き出す事が出来ます。

第2の特長として、ベリー(フロント)フックを固定するマグネットがあります。これはフックを固定する事でミノープラグの弱点のひとつである根掛かりのしやすさを改善する為で、ミノータイプの小さなリップでも立木や消波ブロックなどへのスタックが少なく、ウィードや水棲植物の間をヌルヌルと通してくる事が出来ます。

また、ジャークやトゥイッチの際にベリーフックがラインを拾う事が少なく、ストレスなくテンポよくシャローを撃っていく事が可能です。

まあ、そんな感じでノーマル状態のGUPPY110の良さを語って来ましたが、自分がチューニングをするのは冬ですかね~。

特に水温が10℃を割ってくるようなインターミディエイトでは板鉛などを貼ったチューニングを施します。

まあそれはそのアクションが云々というより”とにかく超ゆっくり巻きたい”という状況で、GUPPY110の浮力を殺してデッドスローに巻く為のものです。

殆どサスペンドに近い状態して、ゆっくり巻いて止める。ゆっくり巻いて止める。

クリアウォーターのフラットで有効な冬の釣り方です。

しかしそれはだいぶ先の話しなので、今は秋の必殺巻物ルアーとして楽しんでます。

コブラチャターの接続部分

発売以来とてもご好評頂いておりますコブラチャター。

お客さんからの釣果報告も、年間通じて最も多く安定しているルアーとなってます。

人気の秘密はやはりこの特殊なヘッド形状によるカバー回避能力の高さでしょうか。

ガードなどがないオープンフックでありながら、立木やレイダウンなどのウッドカバーやロープやジャカゴ、キンチャクなどのマンメイド、ハスや葦などのグラスカバーもヌルヌルと抜けてくるのでタイトにスローに攻め切る事が出来ます。

また、ウィードの抜けが良いのにフッキング率も良いので広大なウィードエリアを広く釣るにも最適です。

実はこのフッキングの良さとカバー回避の両立というのがコブラチャターの最も拘った部分で、チャターベイトというルアーは魚を引っ張る力は圧倒的なのですが、そのアピール力故にチャンスは一度きり。1度バイトがあったらセカンドチャンスは少ないのです。また、カバー周りの魚はとりあえずルアーにバイトしてくるけど威嚇のようなバイトでガッツリ食い込まない事も多々あります。だからこそカバークランキンのように敢えてトリプルフックでキスバイトを取っていく釣りがあるわけです。クランクに口を使ってくれない魚をチャターベイトのアピール力で強制バイトさせる。なのでブラシやワイヤーなどのガードは無し、オープンフックで即掛けセッティングながらカバーはぬるぬる回避する。これがコブラチャターが生まれたコンセプトなのです。

発売当初は「クランク屋のチャター」というポジションでしたが、今やもう「チャター屋が作るクランク」になってしまっているかも知れません。

 

さて、前置きと自慢話が長くなりましたが、このコブラチャターのブレードと本体と接続部分ですが、稀に鉸めが甘い物があるようです。

そもそもコブラチャターの接続部分はこのようなパーツ構成になっています。

アイとブレードの他に真鍮製のパーツがあり、このパーツがキャスト時にブレードが定位置から奥に行かない為のスペーサーであり、ブレードが当たるノッカーであり、ブレード脱落防止を兼ています。

しかし、まれにアイがしっかりと閉じられていない個体があるようで・・・

こんな感じで少し開いているものがあるようです。

一応この状態でもスペーサーがあるので簡単にブレードが抜け落ちたりはしないのですが、開き具合が大きければ脱落してしまう場合もあるかと思います。

なので皆さんのお手元のコブラチャター、是非一度アイの開き具合を確認してみて下さい。新しいパッケージを開けた時はもちろん、使用中の物もたまに確認してみてください。

もし開いていたら、丈夫なプライヤー等でグッと鉸めて頂けたらと思います。

ご使用前に是非確認してみてください。

 

リグとフックのマッチング

広島、岡山に被害があったと思ったら、大阪に大型台風直撃。

そして間髪入れずに北海道に地震と、本当に災害の多い年です。

先ずは被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げると共に、何か支援出来ない物かと検討中です。

もうほんと、災害嫌です・・・。

 

さて、そんな状況ですが、既にデリバリーが始まっているデスサイズ3,75&3,5インチ。

0,25”という微妙なサイズ感故にフックのマッチングや使用リグについての質問がありましたのでこちらでご紹介したいと思います。

まずジグトレーラーとしてのセッティングについてですが、自分がよく使うジグはプロズファクリーさんのOPジグとモーションジグの2種類(スモラバ系とかスイムジグ系は別にした、所謂ラバージグというカテゴリーで)。

モーションジグはフットボールとアーキージグの中間的なヘッド形状とウェイトバランスを持ったジグで、アーキーのようにカバーに強いけどフットボールのように真っすぐフォールするのが特長です。

OPジグはスタンダードなフットボールジグのサイズ感ながら、適度なブラシガードと名前の由来となったワンポイント(ぽっちり)がハードボトムの上でフラフラ不安定になる事でバイトを誘います。このジグにマッチするデスサイズは3,75″。絶妙なバランスでパタパタし過ぎないデスサイズは、フットボールジグのストロングポイントである速い動きを水流抵抗で殺す事無く、強い水蹴りを有しながらもアップテンポにボトムをタップ出来ます。

スタンダードサイズなOPジグに比べるとモーションジグは少しだけコンパクトで、ボリュームが抑え気味。丁度普通のジグとスモラバの中間のような、ちょっと特殊なサイズ感です。これにピッタリ合うのがデスサイズ3,5”。カバー内でじっくり誘う事も、ストンと落とした後で倒れ込むアクション。素早いリフト&フォールで魚にアピールします。

デスサイズのサイズ表記は長いヒゲまで入れた全長の為、一般的なクローワームとちょっと違うボリューム感だと感じるかもしれません。3,75”は普通の3,5”。3,5”は3”といったサイズ感に感じる人も多いようです。

 

ジグトレーラー以外ではライトテキサスやドロップショット、そしてリーダーレスダウンショット(直リグ)で使う事も考慮してデザインしました。

適合フックサイズは3,5”だと1/0フック。3.75″には2/0あたりがベストマッチと思いますので、自分はこんな感じで1/0と2/0のフックで自分仕様のリグを組んでデスサイズに使っています。

しかし、最近はノガレスさんのスルーダウンショットリーダーとグレネードシンカーを使う事も増えてきました。

 

普通のドロップショットのように、ファイト時に絡んでしまう事が少なく、ワンタッチでリーダーの長さやシンカーの重さを換える事が出来るので、その場その場を釣っていかなければならないオカッパリの時など、特に重宝します。

ちょっと試してみたいけど結び直すの面倒くさい・・・という人間にはとても便利です。

ドロップショットがいいか、リーダーレスがいいか迷う・・・って時にも簡単に交換できますので、これ考えた人にお礼を言いたいくらいです。

でも移動にはNomadシリーズのフックキーパーこそ至高です。

参考までに使用タックルはモーションジグ、OPジグ共に

Nomad C-68MH      DAIWA アルファス サンラインFCスナイパーインビジブル12~14lb

リーダーレスダウンショット:デスサイズ3,75″ 2/0フック 5~7g

Nomad C-68MH      DAIWA アルファス サンラインFCスナイパーインビジブル12~14lb

スルーダウンショットリグ:デスサイズ3,5″  1/0フック 3.5~7g

Nomad C-68M        DAIWA アルファスAIR サンラインFCスナイパー8~10lb

一応制作者はこんな感じのタックルでやってますので、似たようなスペックのタックルで楽しんで頂けたらと思います。

釣果報告お待ちしてます!

ラウンドかフラットか

漁師クランクのサイズ感はKVD8.0とほぼ同じ。

 

でも、上から見ると・・・

 

 

横幅がこんなにスリム。

これによって1日巻いてもフィットネスにならない軽い巻き心地と、小魚が尾びれで水を蹴るようなナチュラルな後方乱流を生み出します。

かなり特殊なボディシェイプのように感じる人も多いかも知れませんが、クランクベイトとは本来こういう形なのではないかと思っています。

クランクベイトの始祖であるヤングのオリジナルBig-Oも、初期バグリーのBB3も体高はあるものの横幅は意外とスリムでした。

これは推測ですが、昔のプラスティック素材は重く強度も足らない為、バルサルアーの浮力を再現する為に、横幅を太らせて空気量を確保したのではないでしょうか。

こうした誕生したまん丸もこもこボディのクランクベイトが、現在のラウンドクランクのスタンダードになっているのではと推測するのです。(あくまで推測なのでSNS等でドヤると笑われると思いますw)

しかし現在のプラスティックは硬く、強度もあり、その分軽量に作る事が出来ます。

なのでフルサイズ以上のボディサイズを持つ大型クランクベイトなら、バルサクランク並みのキレのあるハイピッチアクションと、レッドシダークランク以上の強度と精度を持たせる事が出来るのです。

プラスティックの強度とクランクベイト本来のボディシェイプ。

この漁師クランクを見た多くの人から「フラットサイド?」と聞かれるのですが、自分的な回答は

”これこそが本来のラウンドクランク‼”

なのです。