メタニウムMgカスタム

たまに聞かれる事があります。
「そのリールってイジってます?」
「そのハンドルってステラの奴ですか?」
メーカーのインストラクターである以上基本ノーマルなのですが、
”夢屋”のパーツを使ったり、気に入ったケミカルを試したりする事はあります。
で、自分好みにパーツを組んで、ケミカルチューンで巻き感度を目一杯上げた、
いわば”ツカケン専用クランキンカスタム”(笑)にしているリールもあります。

このメタMgについているハンドルは”夢屋”で出ているパーツで、
れっきとしたベイト用のツマミです。
「夢屋コルクノブ TYPE3ショート」
圧縮コルクで出来ていて、触った感じもとても気に入っています。

このコルクハンドル、昨年かなり真面目にテストした物で、
軽く、手の中で遊ぶ位軽く摘んでいても、
フッキングとかのインパクトの瞬間にはすっぽ抜け難い形状をしています。
見た目には判らないお洒落ポイントもあります。
コレ↓

構造上何の変化もないんですが、「専用」というからには赤くないと・・・。
まあ、外からは見えないけどエンジンのヘッドが赤いとか、そういう感じです。
本当はツノとかも付けたかったのですが、
どう考えても親指に刺さりますので辞めました。
チューンに使う三種の神器はコレです。

IOSファクトリーの01、02オイル、そしてグリースです。
ここの社長さんとは2月にお会いしましたが、
正に”オイル馬鹿一代”
普通じゃありません。
先ずはリールをバラして、各部を脱脂し、馬鹿なオイルで組んでいきます。

脱脂したメインギア。
歯面のみにグリスを塗布していくわけですが、
このグリスが非常にヤバイ。
何がヤバイって、普通メンテした後、使っていくとグリスが劣化し、
滑らかさは下降線を辿っていく訳ですが、
このグリスは暫く使っていくうち歯面を滑らかにする特性があり、
巻き心地が上昇線を辿ります。
で、この一番良い状態を維持してくれるのですから、
億劫でメンテナンスをサボリがちな自分にはとてもありがたいグリスです。
メインとピニオン周り、そしてレベルワインド連動ギアの歯面にグリスを塗布します。

案外大事なのはこの部分。
メインギア軸受けの部分は普通グリスアップされていますが、
一度バラして脱脂し、02PROという粘性の高いオイルをさします。
このオイルは負荷が掛かった状態でも逃げ難く、
揮発性が殆ど無いので、オイルならではの軽い巻き心地を長く維持出来ます。
同じようにレベルワインド周りを02PROで組上げ、
ギアの歯面のように面圧が掛かる部分をグリス。
回転の滑らかさが必要な部分を02PROで組み、
軽い巻き心地になるように仕上げていきます。
もちろんハンドルノブ内も硬いグリスから02PROに代えて、
ハンドルツマミがクルクルと軽く回るように組上げます。
こうする事でリールはとても鋭敏になり、
巻上げ中の僅かな抵抗感を感じる事が出来るようになります。
元々敏感なメタMgですから、このチューンを行えばさらにセンシティブになる訳です。
キャスト(スプール回転)に関係する部分には01PROを使います。
スプール両端のベアリング、スプールシャフトとピニオン内部等です。
この01PROはとても面白い特性を持っていて、回転数によって粘度が変化します。
つまり高回転では高粘度となり、低回転では低粘度になる訳で、
これをキャストすると前半は高回転を抑えてバックラッシュを防ぎ、
後半はス~~~~っと伸びていく訳です。
遠心ブレーキタイプであれば通常より確実にブレーキブロックを減らした状態で使えます。
カバークランキンでは通常3~4個使っていたブロックが、
最近では2個以上使う事がなくなって来ました。
おまけに使用ブロックが少ないので、そのままの状態でロングキャストに以降出来ます。
何より揮発する事が殆ど無いので、釣行の度に注油する必要もなく、
結構長い時間メンテナンスフリーで性能を維持する事が出来ます。
メンテと言えば重要なのがこの部分↓

「シ○アか!?」
なんのこっちゃな画像になってしまいましたが、
ブレーキブロックが接触するブレーキドラムの話しです。
よくこの部分の油分をよく拭き取ってと言いますが、
絶対にやってはいけないのが、パーツクリーナー等で脱脂する事です。
「ティッシュでよ~く拭き取って」も油分は少し残りますが、
パーツクリーナーで洗うと完全脱脂の状態になります。
よく「ブレーキブロックが摩擦熱で変形した」という報告を聞きますが、
大抵はこのドラムを完全脱脂した事が原因である事が多いです。
もし汚れが酷くてパーツクリーナーを使った場合は、
必ず、純正オイルを薄く伸ばしてから拭き取ってください。
くれぐれも、ティッシュと脱脂は別物です。
ちなみにIOSはリールのチューンとしても有名ですが、
オイルやグリスの単品販売もやっています。
知らなかった方、興味のある方はコチラ。
『IOS FACTORY』