月別アーカイブ: 2012年12月

ワーム色

アメリカでウォルマートやアカデミーに行くと必ず寄るのが釣具コーナーですが、なかでもお目当てはこちら。

ノーマンのファントムグリーンというカラーです。
この地味~なカラー、日本ではあまり売ってないので、見つけたら買うようにしているのですが、身近にライバルが多く、先に見つけないと全部イカれてしまいますw

もちろん日本で購入できる物も、見るとついつい買ってしまいます。

この手のダークトーンカラーが得意とするシチュエーションは、”ある程度魚の居場所が解っていて、魚をスプークさせたくない状況”。つまりソフトベイトのフィネスフィッシングに酷似したシチュエーションであり、速く広域をカバーし、遠くからも視認しやすいカラーを選ぶ本来のパワーフィッシング(巻物の釣り)とは逆のスタンスになります。
この手のカラー、ウォーターメロンやグリーンパンプキンなどのワームっぽいカラーが、日本の狭くてプレッシャーの高いフィールドにこそマッチするカラーである事は、我々日本のアングラーが一番理解している事だと思います。ソフトベイトはグリーンパンプキンだけど、クランクベイトはチャートリュースと決めて掛かるのはとても勿体ない事です。少なくとも、ファントムグリーンの威力を知らないのは勿体ないと僕は思います。
水温低下によりプランクトン濃度が下がったシャローの水は澄み切ってしまいます。そんな中、チャートリュースのクランクベイトが目立ち過ぎて”浮いてるな~”と思ったら、ファントムグリーンを投げてみてください。ワームやラバージグのように周囲に馴染みながらも、しっかりとアピールしてくれます。

おまけ画像。

昔、リリースしようとしてボツったカラーw

昔あった激釣れカラー

このシリーズを作った当時のスタッフは最高でした。

 

もうひとつの冬の定番

タイニークランクと並んで冬場の定番と言えばフラットサイドクランク。

それも一見「大き過ぎるんでない?」と言いたくなるようなリップがついたモデルが効果的。

この写真に写っているルアー、みんな同じような形をしていますが、全て違うメーカーから出ているルアー達です。

そもそもフラットサイドクランクの特徴は、その名の通り横幅の狭い平たいボディで、ラウンドタイプに比べて浮力が少ないという点の他に、ボディが薄っぺらいので、アクション時に受ける水の抵抗が大きく変化し、後方乱流の振幅がビビットでブライトであるのが特徴です。
まあなんか難しい事言ってますが、この辺の感覚を文章で表現するのが難しいのです。アホですみませんww
要はラウンドクランクの乱流がブワワワ~ッと幅が大きくピッチが細かいのに対して、フラットサイドのそれは幅が狭い代わりにピッチが大きく、振幅が大きいのです。

さて、この手の話はすぐ脱線するのでこの辺にして、冬用フラットサイドの話に戻しますww
写真のルアー達は、先述しましたように、バランス的にどうよ?って感じの大きなリップがついてます。その為あまり高速リトリーブは得意ではないどころか、速く巻くとたちまちバランスを崩してしまいます。また、飛行姿勢も良くなく、すぐ回転してしまうので、シャローをバンバン撃っていくにはちょっとストレスです。では、なぜこんなルアーがいくつもの会社から出ていて、ひとジャンルを形成する程になっているのでしょう?それはやっぱりこのルアーが最も輝く場面があるからだと思います。


このルアーが最も得意とするのはスローリトリーブです。
それはもう、ゆっくりゆっくり、このルアーが真っ直ぐ泳ぐようにゆっくり巻いてくるのが基本です。幸いこのルアーはアクションが大きく、バタバタとド派手に泳ぎますので、ゆっくり巻くと大きな振動がロッドやリールに伝わり、それほどストレスを感じずにスローリトリーブ出来ます。ベリー~ティップがブルンブルン震えて、思わず肩こりが治まりそうなくらいです。ここまでバイブレーションがビビットなのは先述したフラットサイドボディの成せる技だと思いますが、そのアクションを生み出す大きなリップは、本来カバーに対してあまり強くないフラットサイドボディに、圧倒的なカバー回避性能を与える事に繋がっています。立木だろうがレイダウンだろうが、あらゆるオフロードを走破していく4WDの如く、カバーの中の魚目掛けて突き進んでいきます。

ハイシーズンに使うと何が良いのかさっぱりわからないこの手のルアー。
・浮力少なめ
・バイブレーション多め=超スローリトリーブ可
・カバー回避良好
となると、正にタフコンディションを制する要素満載です。
キャスタビリティの悪さも、決め撃ちカバーの近距離戦と割り切ってしまえば、大したマイナスにはなりません。むしろタイニークランクやサスペンドシャッドでは狙いきれないカバーを攻略できる数少ないルアーだと思えてきます。

ルアーはまさに適材適所。そのルアーがそこに「在る」という事は、必ず誰かの「欲求」によって生み出されたのだと思います。ならば僕達アングラーはそれを読み解いていくのがルアーフィッシングの楽しさで・・・って話はどうでもよく、「冬でも釣りたい!」ただそれだけですww

冬の定番

めっきり寒くなりました。

寒冷前線による急激な水温低下など、魚の活性がガクンと落ちてしまう状況が増えてしまいます。

こんな時活躍してくれるのがタイニークランクです。

このちっこいクランクを投げるタイミングは真夏や真冬。
魚の活性が下がってしまい、速く動くルアーへの反応は鈍く、
かといってソフトベイトでもテールを啄むだけというような状況で活躍してくれます。

ハイシーズンに使ったらただのコバス苛めルアーですが、
フィールドが沈黙する状況で使うと、シャローに残るグッドサイズを引き出す切り札になる場合があります。
一度良い思いをすると状況が状況だけに印象も深く、ついついボックスに増えていくルアーでもありますww

このタイニークランクというジャンルのルアー、
そんなに深く潜らせる訳ではないんですが、ダイビングリップといいますか、
長いリップの物が好まれます。
理由はこれらを使う状況が、上記したようにフィールドコンディション悪く、
魚があまり口を使ってくれない状況にあったりします。
その為、ゆっくり巻けて、カバーなどにもスタックし難い大きなリップの物が好まれるのでしょう。
つまりこの釣りもまた、立派なカバークランキンであり、
そこがサスペンドシャッドの釣りと違う部分だったりします。
カバー周りをじっくり丁寧に攻めて、沈黙したシャローから魚を引き出す・・・。
冬場の釣りもまた、楽しいですね♪

NORMAN LURES DBN & DTN

ノリーズ SHOT & SHOTフルサイズ

最近のお気に入り

最近お気に入りのディープダイバー。

6th SENSEのCRUSH300DDです。

ICASTで発表以来、動画などでチラホラ見掛けて気になってましたので、ハニスポ内村くんに頼んで入れてもらいました。

まあご覧のように某ファットフリーシャッドにクリソツですw

しかし、実際使ってみるとアクション、サウンド、巻き感と結構な違いがあります。

前から見た感じとかもホントにそっくりなんですけどね・・・。

大きな違いがあるとすればこの部分。

ファットフリー:28.5gに対し、

CRUSH300DD:30.3g

ウェイトに約2g近い差があります。
(もちろんそれだけではなく、ボディシェイプやウェイトバランスにも微妙な差はあるんですが・・・)
ラトルサウンドは低周波というかゴトゴトした低い音質。
アクションの出がよいので、泳ぎ出しがキレイで低速でもよく泳ぎます。
最大の特徴は巻き抵抗の軽さで、ファットフリーに比べて軽く巻けるので、
長時間投げ続けても釣り人の疲労が少ないでしょう。

もともと6th SENSEはルアーのリペイントやカスタムを行ってきた会社らしく、
特にアメリカでも不動の人気ルアー:ファットフリーシャッドへの思い入れも深いのでしょう。
オリジナリティという点ではアレですが、カスタムルアーというカテゴリーで捉えるなら、
とてもクウォリティが高く、日本のフィールドにもマッチしたルアーだと思います。

今後もっともっと使い込んでみたいルアーですね~。
PCR(PowerCrankinRod)シリーズの開発テストにも頑張ってくれてます!

FDとTCRの違い。

最近とても多い質問に「FDとTCRはどう違うの?」というのがあります。

素材やメーカーは別として、同じクランキン用で、6’10″というレングス。
しかもL,ML,Mと3種類のパワー表記となると、以前シマノさんで手掛けた610クランキンシリーズとどう違うのよ?
というご質問が多いのは、実にごもっともかなと。

さて、そんな2つのシリーズを比べた場合、「好みは別として、用途は同じ」というのが僕の感覚です。
以前シマノさんでは、UDファイバーコンポジットを使用したロッドをデザインしましたが、
今回NFCではピュアカーボンの低弾性を選択しました。
4軸やXアシスト等の二次補正は無しです。
NFC自慢の巨大ローリングマシンとこの分厚い巻きがツブレやネジレといった、
低弾性ブランクのマイナス要素を徹底排除し、
とてもスムーズで、プログレッシブに曲がるブランクを構築してくれます。

まあこれまで僕がやってきた仕事、説いてきた理論とはまったく逆のスタンスのプロダクトですが、
それでもFDの理論構築を行った頃よりも、さらに踏み込んだテストを行ってきたつもりです。
低速重視のルアーから超高速リトリーブ、様々な環境でのテストを連続で何日も行って検証してきました。

今回のTCRシリーズの最大の特色はキャスタビリティ。
グラスロッドとは比べ物にならない飛距離と、スイートスポットが広くて投げやすいテーパーは、
多少フォームやタイミングが狂っても抜群のキャストコントロールを誇ります。
オーバーヘッドやサイド、アンダーはもとより、ピッチングで近距離を撃っていく事も可能です。

また、グラスに比べて軽くて細いので、強風時のキャストも楽で、長時間の釣りでも疲労感が少ないです。
これだけキャスタビリティを向上させると当然、カリッとしたピンピンと張りの強い調子を思い浮かべると思うのですが、
これがなぜかモッチリと粘り、まるでファイバーグラスのようにカバーを舐め、キスバイトを絡め取ります。

正に「投げた感じはカーボンで、巻いた感じはグラス」。
そして、低弾性カーボンロッドにありがちなダルッとした重さは皆無であり、
シュパッと投げて、ヌルッと巻いてくる事が出来ます。
そしてひとたび魚を掛ければ、相手の動きを殺しながらトルクフルに寄せてきます。
これがNFCのブランク愛用者がよく口にする「気持ち悪い」という表現の所以であると思います。

僕自身、シマノさんでやってきた事の模造品をゲイリーの元で作るつもりはありません。
かといって自分が求めてきた物は一時のブームではなく、自分の経験値を反映した物だと思いたいのです。
長さやパワー表記など、FDの610シリーズを踏襲する部分はありますが、「用途は同じだが、完全に別物」です。

随分昔になりますが、以前とある携帯サイトの質問コーナーで、
「僕はグラスロッドが嫌いだ」と返答した事があります。
そんなグラス嫌いの僕でも使えるグラスロッドを作ろうとFDを作りました。
そして今度はグラスコンポジット並みのフレキシビリティを持ったグラファイトロッドを作りました。

センシティブさとトラッピング能力を併せ持ったテクニカルクランキンロッド。
是非お手にとって確かめてみてください。
FDを使っていた人も、クランキンロッド自体が初めてという人も、
NFCブランクならではの不思議な感覚に感動して頂けると確信しています。