自分の釣り、というよりタックルの認識を大きく変えてくれたリールがあります。
それがこの「スコーピオン1000Mg」なんですが、
このリールに出会うまで、リールで重要視する部分は飛びのスムーズさと、
巻き上げの滑らか、そして耐久性でした。
もちろん少ない力で飛ぶに越した事はありませんし、耐久性は大事です。
出来れば剛性の高いボディで高回転のブレを抑え、
それによる耐久性が全てであるように思っていました。
当時のフラッグシップはコンクエストDC、そして名品と謡われたアンタレスARがありました。
しかし、「インストラクターに見て貰うような価格ではないんですが・・・」と遠慮がちに渡されたこのリールを何度かキャストした時、これまでのシマノリールには無い衝撃が襲ってくるのを感じました。
「巻き感度が異常に高い・・・」
それまで使っていたコンクエスト100やアンタレスARに比べ、
クランクベイトが発する振動、ボトムやカバーとのタッチ、
ウィードの一本一本を感じるようなセンシティビティーを持っていました。
「これ、ギアの素材変えた?」
思わずそう訪ねてしまった程でした。
テスト用に用意した様々なロッドのうちで、
シャウラのようにグリップの重いロッドや、弾性の高いカーボンロッドはそれ程顕著ではないものの、
当時使っていたワンオフの6,10ftグラスクランキンロッド(後のFDコンセプトモデルとなったテストモデル)では、明らかな違いとして同行した技術者にもそれが判る程の違いでした。
発売後、このリールは自分のメインリールとなり、クランキンだけでなく、ピッチンフリップやジャークベイト、スピナーベイトにも使用し、ライトハンドル6台、レフトモデル4台を所有するに至り、
ファイナルディメンションシリーズのテストではメインリールとして活躍する程の偏愛ぶりになりました。
当時は「ギア非が高い程鋭敏になる」という風潮もあったのですが、スコーピオン1000Mgと同じジュラルミン製ギアを搭載したアンタレスDCでは、このクランクベイトへの高い感度を示したのはギア非5,8:1のローギアモデルでした。
ここで判ったのはギア非そのものではなく、ハンドル一回転における最大巻上げ長が65cm前後である事。
それがグラスロッドを用いたクランキングで最も鋭敏なタックルマッチングではないかという事でした。
このマッチングでタックルを組む限り、経験の少ない新入社員であっても琵琶湖南湖でのグラスクランキンを容易な物にし、藻ダンゴ状態になる事無く、クランクベイトを泳がす事が出来ました。
自分達の中でクランクベイト=ローギア神話が崩壊した瞬間です。
これにより、メタニウムシリーズの新機種であるメタニウムMgは、単なる’05メタXTのMg化から大きく姿を変えていく事になりました。
ボディ全体の高剛性化と極限の軽量化、人間工学に基づいたボディデザインが成され、同時に巻き感度をアップさせるあらゆるエンジニアリングが施されていきました。
特に気を使ったのがこの部分。
後のレフトモデルやDCユニットの搭載も視野に入れた上で、
3フィンガー、2フィンガーも含めたあらゆる方向へのロッド保持を考慮したパーミングプレートです。
これらのリールの誕生によって、クランクベイトの釣りが自分の中で劇的に変化しました。
これまで、シルキーで滑らかな巻上げにあっても、ティップが曲がっていくまで何が起きたか判らない状態にあっても、より軽く、ストレスフリーで巻き続けられる事が身上と考えていたリールが、
ロッド以上に鋭敏で、ルアーの泳ぎの質まで見極められる存在になった事。
ウィードの種類や密度を感じとり、一秒先を見越して巻く事が出来るようになった事。
魚が食いついてくれるのを巻きながら待つ釣りから、自分で間を作って食わせにいけるようになった事が、どれだけ大きな力になった事でしょう。
その後発売されたアルデバランMgは最後までギア非のテストが難航しました。
で、結局、このサイズで考えられる最大巻上げの7:1と、
市場が望む小径スプールのローギア5,8:1という2機種が発売されました。
自分的にはこのリール、32mm径のスプール内に直径30mm程しかラインを巻いていません。
これによって、最大巻上げ長は約65cm。
メタMg等と同等の巻き上げ長になるという訳です。
アルデバランはスプール径が小さい為、軽いルアーでもレスポンスが良く、
ライトラインや小さなルアーの使用に抜群の適応能力を持っています。
スモールクランクやフラットサイドの使用が多い冬のシャローでは重宝します。
また、先日、友人である「迷ぴあにすと」さんにお願いして、湖北である実験をして貰いました。
「果たしてローギアリールは本当にゆっくり巻けるのか?」というテーマで、
スピナーベイトのスローロールを含む、巻物系のルアーでカメラと共にレンジを追いかけて貰いました。
結果としては、「ほぼ予想通り」という感じでしたが、
ANGLER’S CHANNELに動画と一緒にコラムUPしてくれてますので、興味ある方は是非。
『迷ぴあにすとのWhat’s a Wonderful World』
これまで想像していた事、単なるスペックから予想出来る事とはまったく違う結果が待ってますよ~。
正に「Don’t Think! Feeeeeeeel!!」って感じですw