日別アーカイブ: 2009年12月18日

ジャーキングロッド

先日からNWBさんのブログや西根さんのブログで話題に登場している2本のロッド、
FD TS160LとFH TS166L

(写真も勝手に拝借w)
お2人を始め、沢山の方々に気に入って貰えてるようで、
企画開発の関わった自分としては嬉しい限りです。
そこで、激動の割りにブログネタの無い自分もこれに乗っかって、
開発秘話というか薀蓄の一つでもタレてみようかと思います。
・FD TS160L
このロッドの開発はUSエリートプロの桐山からの要望でもある、「乗りが良い」と「バラさない」を一から見直す事から始めました。
単にジャークするだけであれば、ある程度ロッドは張りがあった方がアクションし易いのですが、
スティッフな調子のロッドではアクションの基点は作りやすいものの、手首へのキックバックが強くリップに受ける抵抗をグワッと押し切る事が難しくもありました。
そうなると自然と抵抗(リップ)の小さいルアーを選んでしまう訳で、ジャークベイトというより水中のペンシルベイトのような釣りが多くなってしまいます。(もちろんそれが良い時もあります。)
鋭いジャークの中にも、ルアー本来の持っているなめまかしい泳ぎを活かすには、ある程度ラインの張りとロッドの芯が出るタイミングをズラしてやる必要があったのです。
様々なブランクを試した結果、追従性と反発性の丁度良い所を突き詰めるには、ある程度ガラス混入量の多いプリプレグ(カーボンシート)が適している事が見えて来ました。
元々各社のカーボンシートには少なからずガラスが(意図的に)混入している物が多いのですが、その中でも比較的ガラス混入量の多いシートを使った物が特に良い結果を示しました。
通常「グラスコンポジット」というとグラスファイバーのティップとカーボンのバットを繋いだ物や、グラスブランクスのバットの上にカーボンを巻いた物を言う事が多いのですが、このロッドはガラス混入量の多いプリプレグを採用したロッドという事になります。
余談になりますが、よくロッドの素材を判断する場合、30tとか40tとかいういわゆるt数で判断する事が多いと思うのですが、実は同じt数でもガラスや樹脂の混入量でロッドの仕上がりは結構変ってしまいます。
また、それらの裁断時におけるマンドレルへの目付けの角度なんかでもまったく違う竿になったりします。
まあ、使う人には関係ない話しなんですけどねw(じゃあ書くなよ)
まあそんな訳でwある程度方向の見えたプロトは国内だけでなく、桐山によってシャンプレーンやエリーといった北部のスモールマウスレイクに持ち込まれ、一日100本とかいう単位でのスモール乱獲によるハードテストをこなし、発売となった訳です。
まあ、スモールですからね、ジャークの途中でひったくるわ、バイトと同時に高々とジャンプするわ、フルパワーで突進するわで、小さなトリプルフックのジャークベイトの釣りではこの上ないテスト相手です。
このロッドでジャークした瞬間、ブランクの曲がり方を注視していると判るのですが、ベリーからバットでルアーを押し切った瞬間、ティップはルアー側ではなく手前側に向かって曲がっています。
つまりブランクがS字のような状態になっているのですが、これがこのロッドの乗りの良さの秘密です。
一本のブランクスの中にルアーを動かす部分とバイトを吸収する部分が別個に存在するのです。
また、このロッドは曲がりがキレイで投げやすいという特徴も合わせ持っています。ピンポイントにも投げやすいので、オーバーハング等のカバー周りやトップウォーターベイトのピン撃ち、メタルジグのバーチカルジギングにも効果的なロッドになっています。

・FH TS166L
このロッドは元々ダム湖のポッパー(Pop-Rとか)用に作ったプロトタイプがベースで、
160L譲りの乗りの良さと、ルアーの動かしやすさを追求したモデルです。
いわば160Lのロングキャスト版のようなものでした。
この頃丁度、琵琶湖ではOSPのルドラがまだ静かなブームだったのですが、
それをこっそり楽しんでいた杉戸船長が、
「なんかええロッドないか?」と言うのでプロトの一本を渡すと大絶賛。
続いてフロリダからはバーニー・シュルツが、
「もう少し長いジャークベイトロッドが欲しいんだが・・・」
またまたバーニーも大絶賛!
そんな訳でこのロッド、ロングジャークロッドとして時期発売モデルに急浮上。
しかし、このロッドを煮詰める段階で、軽いチタンよりも重いステンガイドの方が良い感じ・・・。
これによってブランクのしなやかさは増し、低弾性特有の曲がりの良さがより実感出来ます。
ブランクの設計もそれほど特殊ではなく、インドネシア工場でも生産出来るレベル。
つまり、理想のアクションを出す為にFDではなくFHで発売する事を選んだ珍しいモデルになりました。
それにしてもこのロッド、非常に幅広い釣りで活躍します。
本来の目的であるロングレンジでのトップウォーターや大型ジャークベイトはもちろん、
細いクリークなど込み入った場所でのシャロークランク、
小さなスピナーベイトやバズベイトにノーシンカースティックベイト。
タフなマッディーシャローでの1/8~3/16ozシンカーで3inクローワームのライトテキサス。
(特にボトムを切ってオダやガマの根を攻めていけるようなアングラーにはかなり・・・)
クリークや流入河川のオカッパリを中心とする時は、この一本で結構イケてしまう事も・・・。
元々あまり発売したくないと思っていたロッドだけに、結構思い入れの強い竿です。
ああもう、なんか書き出すと止まらなくなくのが悪いクセです。
軽く解説するつもりが、無駄に大作(?)になってしまいましたw
ここまで読んでくれた方  お疲れ様でした(爆)。