日別アーカイブ: 2009年12月11日

ディンプル効果


↑+Rooms’のアルカトラズなんですが、最初雑誌やネットでこのルアーを見た時は、
「どういうコンセプトで作られてるんだろう?」
という素朴な疑問が沸いてきました。
ビルダーという仕事をしていると、ルアーの形状をみるとある程度の事が見えてきます。
「ああ、きっとこういう事を狙ってるんだな・・・」とか、そういうビルダーさんの気持ちというか、
ルアーがどの方向を向いているのかとか、おおよその方向性が理解出来ます。
しかし、このルアーを見た時、その方向性はおろか、
あまりに特異な形状にベースラインすら見え難いという錯覚に陥りました。
しかし、この秋、「塊」ブースで始めて見た実物は、非常に洗練されたフラットサイドクランクでした。
カバーからフックを守りながら、強烈なアクションを生む大型のリップ。
背面からの抵抗を極力少なくし、水を大きく掻き回す事に特化したボディ。
ある程度ルアーを作っていれば、ここまでのコンセプトは思い付きます。
しかし、それを実現するには相当に不恰好なボディワークだったり、
逆にコンセプトがそのまま形になったような言い訳がましいデザインになったりします。
まるで”そんな事は一切考えてないよ、自分の好きなルアーで釣りたいんだ”と言わんばかりの、
有機的でインパクトのあるクリーチャー的ボディワークでそんな計算を包み隠してしまう。
ともすれば「キワモノ」と軽視されてしまうかも知れない手法。
しかしそれは誰にでも出来るセンスではなく、それが+ROOMS’の持つ力だと感じました。
ちなみに、プラグやワーム表面に刻まれた深い凹凸は水の抵抗を少なくします。
ゴルフボールの表面に刻まれた「ディンプル」と同じ効果を持ちます。
「そんなに速く巻くの?w」とか思うかも知れませんが、水の密度は空気の600倍。
乱暴に言えば1/600の速度で同じ効果が生まれると思われます。
アルカトラズはあのイカツイ顔に似合わず背面からの抵抗が少なく、
ウィードのようなソフトカバーに大型のコフィン(スクエア?)リップを垂直に立て、
前転するように回避していきます。
もちろんその時にはロッドに力がたまっていますので、
開放と同時に加速し、ブルルッ!とナチュラルで強い振動を発します。
ところで写真のカラー。
いわゆるアイボリー系のカラーなんですが、
ウチもコレ系は好きでアイボリーベースは複数存在します。
パール系とは違うヌメッとした反射は黄色系と同じナチュラルな存在。
また、冬場にも有効なカラーです。
(冬場のシャローで釣れる魚が白っぽいのには理由がある筈)
この時期にコレをドロップしてくるあたり流石です。
冬のシャローで活躍してくれそうなルアーとカラー。
思わずテンションが上がってしまいます。