月別アーカイブ: 2009年12月

期待の新アイテム

「見た瞬間にビビッとくる」
新しいルアーを見た時、こんな感覚に陥る事ってないですか?
大抵そういう時は自分の中で足りないパーツがあって、
欲している姿形が結構具体的に表面化している時だと思います。
そしてそれが自分の期待を裏切らない物であれば、
まるで10年来愛用してきたように使いこなせてしまう・・・。
正に「ピタッとハマッた」という状態でしょうね。

GRAYZがこのルアーのデザインを発表した時は正に「ビビッ!」と来た瞬間でした。
「ああ、ヤバイ・・・絶対ハマる・・・収まるべき引き出しが既に自分にある・・・」
どうせGRAYZ-Dの事だから、ヴァベルの名を冠しそのデザインを踏襲していても、
中身はまったくの別物・・・
奇奇怪怪な手法と様々な角度から可能性を追求していっても、
いきつく所は「狙いたいレンジにおける流体の最適化」、
その見た目とは裏腹に「誰にでも使いやすい高性能」を実現してくるハズ・・・
ましてやテスターは「クランカー木村」
1年中クランクベイトしか投げないリアルクランク馬鹿です。
決して「新機能やコンセプトを詰め込み過ぎたあげくスイートスポットが狭くなったルアー」
にはならないでしょう。
意外にも良いルアーが少ない2mレンジ。
この水深に強力なルアーが登場するのは非常に楽しみです。
そして、ついにこのルアーが手元にやってきました。

FD-CUSTOM Flamingo
FD-CUSTOMと言えば市販ルアーの改造やリペイントとしても有名ですが、
彼のハードベイトへの熱い思いがこもったオリジナルクランクベイトもまた、全国に多くのファンを持っています。
完全ハンドメイドによる極少量生産の為、入手は難しいのですが、
今回突然手元に届きました!
しかも、とても貴重なストームやコーデルのボーンブランクも頂いちゃいです♪
早速塗ろうと思って「ハッ」と気づきました。
「工房ないから塗れない・・・」(爆)
これはそう、FD-CUSTOMさんからの、
「早く工房再建しろ!」という暖かい励ましのメッセージ・・・
早く復活しなくちゃですね~。
それにしても美しいルアーです。
アメリカ人の独創性と、日本人の几帳面さが融合したようなホイル張りフラットサイド。
自分もこの手法のホイル張りは好きですが、2~3個作っただけで気持ちが萎えますw
ルアー作りは気力と忍耐。
そんな当たり前の事を信念曲げずに続けていくFDさん、
本当カッコいいすよ。
Dちゃん、FDさん、ガッツリ使わせて頂きます!
『GRAYZ』
『FD-CUSTOM』

スタンダードか異端児か

ジャークロッドネタが意外に好評だったのでもうひとつ・・・

この2種、個人的に使用頻度が高く長年愛用しているルアーなのですが、
シャッドの方はDUELのSH-60SP、ワームの方はチューブベイトです。
SH-60SPの方はともかく(オールスターで赤羽修弥さんも使ってましたね)、
チューブの方は最近国内ではあまり売ってる所を見なくなりましたね~。
自分は古い人間なのか、単にアメリカかぶれなのか、このチューブベイトが大好きです。
ジグヘッドでも使いますが、テキサスリグでもよく使います。
アメリカでチューブと言えばボビー・ガーランドやギド・ヒブドンといった名前を連想する人も多いと思いますが、
最近このチューブをよく使う選手と言えば、アイク(マイク・アイアコネリ)が有名ですね。
今年のクラシック(ルイジアナ:レッドリバー)でも、チューブテキサスで釣っていました。
この時アイクが釣っていたのは「サリバン」というクリークで、水深は5ft前後という浅いエリアだったのですが、ケイシー・アシュリーのジグも、アイクのチューブテキサスもなんとスイミングで使っていました。
「それが何?」って思う人も多いと思いますが、近年チューブベイトは北部を中心に売れていて、特にゴビー(ハゼ)が大繁殖したエリー湖の攻略用ルアーというイメージが定着していました。
しかしアイクは南部の様々なレイクでチューブを使っていて、好成績を収めています。
そんなチューブベイトを使う為にこれまで様々なロッドを使ってきました。
中でも気に入っていたのはフェニックスのボビー・ガーランドモデル(まんまやんけ)やTS59L。
最近(?)のではメガバスのF3-59XSなんかのティップは硬めでアクションを付けやすく、
ベリー~バットは加重に対してスムーズに曲がっていく・・・
そんなロッドをジグヘッドやライトテキサスに愛用していました。
チューブのジグヘッドの使い方はいくつかあります。
ボトムの落として強めのトゥイッチでリアクションを狙う方法。
スピッピン等でオーバーハングや桟橋をスピーディーにチェックしていく方法。
とにかく何もしないでカーブフォールからそのまま中層をフワフワと漂わせるように巻いてくる方法。
中でも中層を巻いてくる方法はコツを掴み難く、フォールさせる度合いも感覚任せの為、マニュアル化し難い釣りでもありました。(当時それを「そろそろ具合」と呼び、「そろそろかな?」という感覚を把握しているかどうかが釣果を左右しました)
このアバウトさが日本でメジャーになれない理由かもしれません。
こんなアバウトチューブ野郎にとってロッドは案外真剣な悩みでもありました。
こういう釣りをするロッドですから意外に使用用途は広く、
ソフトルアーだけなく小さなシャッドやミノーをジャークするには最適なのですが、
いかんせん今の日本のスピニングロッドにはこういうロッドが殆ど存在しないのです。
そんな訳で「無ければ作ろう鎌倉幕府」のFD開発チーム、嬉々として取り組む訳です。
まず手始めにロッドのレングス。
感覚を掴む為にまずは慣れた5ft9inから初めてみるのですが、
プリプレグ選択の自由度が増した現在、軽く、強力なブランクによって、
「もう少し長くてもよくね?」と・・・。
そこで6ftのプロトも作るんですが「なんか違う・・・」
思ってもみなかった所で暗礁に乗り上げる不安感。
しかし、結局は6ftモデルのグリップは1inぶった切った結果、「おお!!」となり、レングス決定。
次にガイドで問題発生。
近年のニューコンセプトガイドがなんだか違和感・・・。
「ガイド減らそう!ファーストテーパーじゃないんだから6個でOKでしょ?
その方がスキッピンもし易いと思うし・・・」って事でガイド交換。
ブランクの方はこれまで培ったあらゆるプリプレグを試し、プライパターンを吟味。
1アイテム毎に素材も設計も違うFD製法で煮詰めていきます。

こうして完成したFD TS2511L
チューブやノーシンカーをオーバーハングのピンスポットにスキップさせ、
抵抗の大きなチューブを軽快に跳ねさせ、中層の僅かな変化(バイト)を敏感に感じ取る。
岩盤ディープのドゥードゥリングやライトテキサスのスイミング、
スモールベイトやソフトベイトのジャーキングと、
アングラーのアイデア次第で様々な用途に使える王道とも言えるバッシングスピンになりました。
何気にFD最軽量のスペックとフローターロッドとして地味に人気のあるモデルです。
ちなみにこのロッド・・・昔をよく知る霞時代の友人達には大ウケでした。
「持った瞬間にツカケンプロデュースだと判りましたよ~」との事w
個人的にも一番気に入ってるスピニングモデルです。

ジャーキングロッド

先日からNWBさんのブログや西根さんのブログで話題に登場している2本のロッド、
FD TS160LとFH TS166L

(写真も勝手に拝借w)
お2人を始め、沢山の方々に気に入って貰えてるようで、
企画開発の関わった自分としては嬉しい限りです。
そこで、激動の割りにブログネタの無い自分もこれに乗っかって、
開発秘話というか薀蓄の一つでもタレてみようかと思います。
・FD TS160L
このロッドの開発はUSエリートプロの桐山からの要望でもある、「乗りが良い」と「バラさない」を一から見直す事から始めました。
単にジャークするだけであれば、ある程度ロッドは張りがあった方がアクションし易いのですが、
スティッフな調子のロッドではアクションの基点は作りやすいものの、手首へのキックバックが強くリップに受ける抵抗をグワッと押し切る事が難しくもありました。
そうなると自然と抵抗(リップ)の小さいルアーを選んでしまう訳で、ジャークベイトというより水中のペンシルベイトのような釣りが多くなってしまいます。(もちろんそれが良い時もあります。)
鋭いジャークの中にも、ルアー本来の持っているなめまかしい泳ぎを活かすには、ある程度ラインの張りとロッドの芯が出るタイミングをズラしてやる必要があったのです。
様々なブランクを試した結果、追従性と反発性の丁度良い所を突き詰めるには、ある程度ガラス混入量の多いプリプレグ(カーボンシート)が適している事が見えて来ました。
元々各社のカーボンシートには少なからずガラスが(意図的に)混入している物が多いのですが、その中でも比較的ガラス混入量の多いシートを使った物が特に良い結果を示しました。
通常「グラスコンポジット」というとグラスファイバーのティップとカーボンのバットを繋いだ物や、グラスブランクスのバットの上にカーボンを巻いた物を言う事が多いのですが、このロッドはガラス混入量の多いプリプレグを採用したロッドという事になります。
余談になりますが、よくロッドの素材を判断する場合、30tとか40tとかいういわゆるt数で判断する事が多いと思うのですが、実は同じt数でもガラスや樹脂の混入量でロッドの仕上がりは結構変ってしまいます。
また、それらの裁断時におけるマンドレルへの目付けの角度なんかでもまったく違う竿になったりします。
まあ、使う人には関係ない話しなんですけどねw(じゃあ書くなよ)
まあそんな訳でwある程度方向の見えたプロトは国内だけでなく、桐山によってシャンプレーンやエリーといった北部のスモールマウスレイクに持ち込まれ、一日100本とかいう単位でのスモール乱獲によるハードテストをこなし、発売となった訳です。
まあ、スモールですからね、ジャークの途中でひったくるわ、バイトと同時に高々とジャンプするわ、フルパワーで突進するわで、小さなトリプルフックのジャークベイトの釣りではこの上ないテスト相手です。
このロッドでジャークした瞬間、ブランクの曲がり方を注視していると判るのですが、ベリーからバットでルアーを押し切った瞬間、ティップはルアー側ではなく手前側に向かって曲がっています。
つまりブランクがS字のような状態になっているのですが、これがこのロッドの乗りの良さの秘密です。
一本のブランクスの中にルアーを動かす部分とバイトを吸収する部分が別個に存在するのです。
また、このロッドは曲がりがキレイで投げやすいという特徴も合わせ持っています。ピンポイントにも投げやすいので、オーバーハング等のカバー周りやトップウォーターベイトのピン撃ち、メタルジグのバーチカルジギングにも効果的なロッドになっています。

・FH TS166L
このロッドは元々ダム湖のポッパー(Pop-Rとか)用に作ったプロトタイプがベースで、
160L譲りの乗りの良さと、ルアーの動かしやすさを追求したモデルです。
いわば160Lのロングキャスト版のようなものでした。
この頃丁度、琵琶湖ではOSPのルドラがまだ静かなブームだったのですが、
それをこっそり楽しんでいた杉戸船長が、
「なんかええロッドないか?」と言うのでプロトの一本を渡すと大絶賛。
続いてフロリダからはバーニー・シュルツが、
「もう少し長いジャークベイトロッドが欲しいんだが・・・」
またまたバーニーも大絶賛!
そんな訳でこのロッド、ロングジャークロッドとして時期発売モデルに急浮上。
しかし、このロッドを煮詰める段階で、軽いチタンよりも重いステンガイドの方が良い感じ・・・。
これによってブランクのしなやかさは増し、低弾性特有の曲がりの良さがより実感出来ます。
ブランクの設計もそれほど特殊ではなく、インドネシア工場でも生産出来るレベル。
つまり、理想のアクションを出す為にFDではなくFHで発売する事を選んだ珍しいモデルになりました。
それにしてもこのロッド、非常に幅広い釣りで活躍します。
本来の目的であるロングレンジでのトップウォーターや大型ジャークベイトはもちろん、
細いクリークなど込み入った場所でのシャロークランク、
小さなスピナーベイトやバズベイトにノーシンカースティックベイト。
タフなマッディーシャローでの1/8~3/16ozシンカーで3inクローワームのライトテキサス。
(特にボトムを切ってオダやガマの根を攻めていけるようなアングラーにはかなり・・・)
クリークや流入河川のオカッパリを中心とする時は、この一本で結構イケてしまう事も・・・。
元々あまり発売したくないと思っていたロッドだけに、結構思い入れの強い竿です。
ああもう、なんか書き出すと止まらなくなくのが悪いクセです。
軽く解説するつもりが、無駄に大作(?)になってしまいましたw
ここまで読んでくれた方  お疲れ様でした(爆)。

寒冷前線

なんだかんだと更新をサボる事が多くなってきました。
まあ失業中みたいなモンなのですが、それなりに色々とあるわけで、
特にこれまで経験した事がないような事ばかりしていると、案外時間が経つのが早いです・・・。
さて、昨日は熊本から友人の吉本くんが遊びに来てくれたので久々の遠賀川に出てきました。

一昨年初めて会った時はメンターやっててライトリグのイメージが強かったのですが、
今年はGETNETのブログにちょくちょく登場したり、西根さんとこにメール送ったりと、
なんかイキイキと釣りしてる感じです。
そんな訳で若いエキス元気を分けて貰おうとド寒い遠賀に出陣しました。
ついでに最新のライトリグでも教えて貰おうと思ったのですが、本人朝から巻く気マンマン!
どんなに寒い風が吹き付けても、どんなにバイトが無くても巻くのを辞めません。
何事もないまま午後を迎え、
「ワーム系カラーですかね?」とか言ってパンプキン系のDBNでポロリと一匹。
新調したばかりのTS1610LFで筆下ろしの一本となりました。
今年のお仕事釣りを終えてなんだかまったりしている自分には、
なぜか立派な体高のヘラブナが・・・。
その後もなぜかヘラブナばかり当たってきて何事も無く終了・・・。
流石に今回の寒冷前線、強烈っすわw
来週は下川くんとダム湖。
なんか12月に入りボケた頭に鞭打って巻きますよ~。
吉本くんのブログ
『daisuke’s Room』

ディンプル効果


↑+Rooms’のアルカトラズなんですが、最初雑誌やネットでこのルアーを見た時は、
「どういうコンセプトで作られてるんだろう?」
という素朴な疑問が沸いてきました。
ビルダーという仕事をしていると、ルアーの形状をみるとある程度の事が見えてきます。
「ああ、きっとこういう事を狙ってるんだな・・・」とか、そういうビルダーさんの気持ちというか、
ルアーがどの方向を向いているのかとか、おおよその方向性が理解出来ます。
しかし、このルアーを見た時、その方向性はおろか、
あまりに特異な形状にベースラインすら見え難いという錯覚に陥りました。
しかし、この秋、「塊」ブースで始めて見た実物は、非常に洗練されたフラットサイドクランクでした。
カバーからフックを守りながら、強烈なアクションを生む大型のリップ。
背面からの抵抗を極力少なくし、水を大きく掻き回す事に特化したボディ。
ある程度ルアーを作っていれば、ここまでのコンセプトは思い付きます。
しかし、それを実現するには相当に不恰好なボディワークだったり、
逆にコンセプトがそのまま形になったような言い訳がましいデザインになったりします。
まるで”そんな事は一切考えてないよ、自分の好きなルアーで釣りたいんだ”と言わんばかりの、
有機的でインパクトのあるクリーチャー的ボディワークでそんな計算を包み隠してしまう。
ともすれば「キワモノ」と軽視されてしまうかも知れない手法。
しかしそれは誰にでも出来るセンスではなく、それが+ROOMS’の持つ力だと感じました。
ちなみに、プラグやワーム表面に刻まれた深い凹凸は水の抵抗を少なくします。
ゴルフボールの表面に刻まれた「ディンプル」と同じ効果を持ちます。
「そんなに速く巻くの?w」とか思うかも知れませんが、水の密度は空気の600倍。
乱暴に言えば1/600の速度で同じ効果が生まれると思われます。
アルカトラズはあのイカツイ顔に似合わず背面からの抵抗が少なく、
ウィードのようなソフトカバーに大型のコフィン(スクエア?)リップを垂直に立て、
前転するように回避していきます。
もちろんその時にはロッドに力がたまっていますので、
開放と同時に加速し、ブルルッ!とナチュラルで強い振動を発します。
ところで写真のカラー。
いわゆるアイボリー系のカラーなんですが、
ウチもコレ系は好きでアイボリーベースは複数存在します。
パール系とは違うヌメッとした反射は黄色系と同じナチュラルな存在。
また、冬場にも有効なカラーです。
(冬場のシャローで釣れる魚が白っぽいのには理由がある筈)
この時期にコレをドロップしてくるあたり流石です。
冬のシャローで活躍してくれそうなルアーとカラー。
思わずテンションが上がってしまいます。