日別アーカイブ: 2010年2月9日

バットパワー!

ここ数年、バスロッドの味付けは随分と変わって来ているように思います。
弾性率がどうとか、軽量化がどうとか言う話しではなく、
ファイト時におけるアクション、理論そのものが変わってきている・・・、
そんな感じです。
これは琵琶湖のバスの大型化や、ライトタックルによるカバー攻めなど、
現場の声が各メーカーのロッド理論に対して影響を与えているものと思われます。
以前は大型魚を相手にするとか、カバーの濃いスポットから魚を引き出すとなると、
ロッドに求められるのは強靭なバットパワー・・・
誰でも思いつくような話しでした。
しかし、ロッドの反発を強くすればラインへの負担が大きくなり、
その分太くて強いラインが必要になる・・・
当然それでは食わせられない状況も出てくる訳で、
そうなるとラインブレイクを防ぐ為に緩めなドラグ設定が不可欠・・・。
さて、ここで考えて欲しいのが硬めのロッド+緩めのドラグではどういう現象が起きるのか・・・
硬めのロッドでは魚の引きを吸収できないのでドラグは滑りやすく、
カバーに向かって突っ走る魚を止める事が出来ません。
今回発表したFDアンリミには274Mというモデルがありますが、
モデル名から想像出来るスペックは7’4”のミディアムパワー。
「どんな強竿だ!?」と思う人も少なくないと思います。
しかし、実際に触ってみたお客さんの反応は「意外にマイルド!」でした。
オカッパリにしてもボートにしても有効な、ロングレンジからのアプローチを実現しながらも、
ロングタイムシェイクが可能な適度なダルさ。
バット部分まで綺麗に曲がるトルク型のテーパーは、
高反発ロッドにありがちな反発モーメントを手元に感じないのでスペックよりもずっと短く感じます。
そして取り回しのよいグリップレングスを可能にする重量105gのウェイト。
今回、このロッドの開発した奥田学さんとじっくり話しをする時間があったのですが、
そのコンセプトはやはり想像通りのものでした。
一言で言うなら「デカバスを獲る為のしなやかさ」に尽きると思います。
弾性率の低いロングロッドはタメが効き、ラインブレイクを防げる為にドラグ設定はキツめ。
魚の動きを吸収しながらも、常に魚にテンションを与える為、魚の疲れが早い。
もし長時間に及ぶファイトになっても、アングラー側の疲労が少ないのはテコの原理で考えれば明白。
ロッドの先と根元、どっちに重さが掛かる方が重く感じるかは一目瞭然です。
杉戸の265L、2611M
自分の166ML、170Mも同じようにバット側に加重がシフトしていく特性になっています。
まったく違う人間が、違う場所でテストしていたにも関わらず、
それぞれのテスト結果を持ち寄った見本市でコンセプトが相通ずる。
非常に面白い結果でした。
「生き残るのは最も強い物でも、最も優れている物でもない。
変化に対応していける物だけが生き残っていける。」

進化論を唱えたダーウィンの言葉だったと思いますが、
保守的な考えとか、ノスタルジックな感性とかが欠落している自分には、
宇宙の真理のように思える言葉です。
積み重ねた判例だけで物事を決め付ける事無く、
あくなき探究心で可能性を追求していく・・・
これから先もずっと、そんな開発チームでありたいと思いました。