あれから1年

アパッチをリリースしてから1年が経ちました。雑誌やCS番組のような派手な宣伝が出来る訳ではないので、あまり商売的に成功しているとは言えませんが、それでも結構沢山の方から釣果報告や使った感想などを頂き嬉しく思ったりもしました。

まあそもそもウチの場合クランクベイトのイメージが強いので、クランク以外のルアーを出すと大抵驚かれたり、失望されたりしますww そんな事は勿論承知なのですが、それでも多少なりともモノ作りに携わる人間として、「欲しい」と思った物は何としても作りたい衝動に駆られるのです。

随分と昔の話になりますが、僕が茨城に住んでいた頃は毎日霞ヶ浦で釣りをして過ごしていて、その頃一番使用頻度が高かったルアーがスピナーベイトです。もっと言えば高校時代に覚えて、一番ハマったルアーがスピナーベイトでもありました。投げやすく、根掛かりが少なく、爆発力のあるスピナーベイトはバス用ルアーの王様のようで、使っていてとても誇らしかったのを覚えています。

そんなスピナベ好きの私がここ10年ほど使っていたのがアメリカ製のとあるスピナーベイト。別段特別なギミックがある訳ではないですが、サイズ感やバランスがよく、丈夫でとても使い易かったのと、近年の日本では殆ど絶滅危惧種になりつつある、タンデムコロラドがラインナップされている点もお気に入りの要因でした。

まあ、「それが良い」のではなく「それしか選択肢がない」と言った方が良かったかも知れませんが、バイブレーションをよく伝え、魚が釣れても簡単に伸びたりしない丈夫なアーム、トレーラーフック無しでもガッツリ掛けれる大きなフックは自分のスピナベスタイルにピッタリでした。

そして次第にそのスピナーベイトの存在は、周囲の友人や一部のmibroファンの間に広まっていったのですが、なんとそのスピナーベイトはモデルチェンジしてしまい、同じものが入手出来なくなってしまいました。

そこで、チャターベイトのように自分でスピナーベイトを作ろうと考え、Rベンドを行う治具やアームの入手経路、ブレードの発注などを調べる事にしました。

当然わざわざ自分で作る訳ですから、モデルチェンジしたとはいえ既存の物をコピーしてもつまらない。これまでの物に不満が無かった訳ではなかったので、この際思いつく限りのアイディアを盛り込んで、自分の理想のスピナーベイトを作ろうと考えました。

しかしこれがまた色々と問題ありで、理想の強さと反発力を備えたバネ材をアームに使う場合、とてもハンディタイプの治具では綺麗なRベンドなど作れず、不格好な物になってしまう。他にもチャターに比べてパーツの多いスピナーベイトは、部品代もそれなりで、拘った分だけ価格に響いてしまい、軽く見積もってもかなり高額なスピナーベイトになってしまう・・・。そんな事を色々と考え、中国の工場に生産をお願いする事にしました。

理想のアームやオリジナルのヘッド形状、ブレードもオリジナルで起こし、ビーズのロウ付けやアーム先端の開き防止の溶接など、ハンドメイドでは難しい部分にまで徹底的に拘った物を、誰でも買える適正価格と広い窓口で販売する。それを実現出来る方法を模索し、色々な人に相談に乗って貰いました。

理想のカタチというのは人それぞれだと思いますが、長年釣りをしてきた中で表現出来る自分の理想は実現出来ました。それはこれといって新しい形や機能もなく、むしろベーシックで懐古的なシルエットですらあるのですが、子供の頃から投げて来た数百というスピナーベイトと、数千の魚達の記憶が詰まっています。

そんなアパッチを良いと言って愛用してくれる方が沢山居て下さったのはとても嬉しく、そしてその拘った気持ちをいっぱい詰めたパッケージから、それを感じ取ってくれた方が大勢居たのも嬉しかったです。

ご要望の多かったダブルウィローモデルも、丸々2年ほど掛かってしまいましたが、ようやく完成を迎える事が出来そうです。

発売は来春になりそうですが、徹底的に拘ったブレードの特性なんかもご紹介していこうと思っています。

この冬の間に少しここ数年の近況について書き連ねてみようと思います。

どれだけ続くか分かりませんが・・・w