日別アーカイブ: 2017年12月21日

多才多芸である事

 

未だに初めて会うカメラマンやライターさんには「クランクしか投げないんでしょ?」「やっぱクランクって楽しいっすか?」とよく聞かれます。それだけ一つの釣り方のイメージが定着しているというのは有難い部分ではあるものの、あらゆる分野のルアーを使う自分としては正直微妙なところ。むしろ古い友人に言わせると「ドックや水門周りのライトリグのイメージが強い」そう。

確かにクランクベイトやスピナーベイトの所謂巻きの釣り(クランキン)は楽しいし、自分のよく行く釣り場に向いていると思うのですが、ソフトベイトの釣りだって物凄く好き。特にカバー周りにテキサスリグやジグをフリップしていく釣りはクランキンの双璧、シャロー撃ちではセットみたいなもんじゃないですか。

というか、これまで多くのソフトベイト系ロッドもプロデュースしてきているし、オーナーばりではワームフックやジグヘッドのデザインもやらせて貰いました。そんな自分がソフトベイト使っちゃいかんのか!と・・・。

とまあこんな感じでソフトベイトにはそれなりの拘りを持つ私が、せっかく自分で物事を決めれる立場になれたのだから、自分が欲しいソフトベイトを思いっきり趣味満載でデザインしてみたい!という衝動に駆られて図面を引き始めたのがmibroソフトベイツシリーズです。

 

まず最初に取り掛かったのがクランキンと双璧を成すフリップベイト。自分でも使用頻度が最も高く、撃ってくだけでテンションの上がるフリップオブフリップベイト、クローワームを作る事にしました。

10代から20代の頃、ワッキークローやギドバグで釣りまくっていました。その後ホッグ系が台頭し、12年位前にパカクローが襲来。そして近年はウルトラバイブスピードクローなどのアクションテール系のクローが主流となっています。

語りたい事は山のようにあるのですが、要点を纏めるとこうです。

・ワッキークローやギドバグのようにザリガニを連想させるシルエット。

・ホッグ系のボヨンとしたボリューム感。

・パカやウルトラバイブのようなパタパタとしたテール(ハサミ?)アクション。

これらを一つのルアーで表現する事。

大事なのはアクションし過ぎない事。

寒い時期や濃いカバーなど、強い動きが必要な時はリアクションベイト。

薄いカバーやゆっくりとしたフォールで食わせるアフター時期はシルエットで魅せるナチュラルベイト。

強めなアクションやヘビーシンカーではパタパタと動き、ゆっくりとした動きや軽いシンカーには細いヒゲやレッグのみが細かく震えるセッティング。

そうする事でスピーディーでスムーズにカバーを撃っていく事が出来、ジグトレーラーとしてディープウォーターを攻略する際にも、しっかりと水を動かし魚にアピールしながらも、浮き上がりを抑えてボトムをキープし易く出来ます。

 

ストンと落とした後ゆっくりハサミやヒゲが倒れ込んでいく間も魚を誘い続けるので、強めにリフトして落として止める、落として止める。というアクションを多用する自分が最も拘った部分です。

このジグトレーラーとしての部分を高評価して頂いたブログを見つけましたのでご紹介させて頂きます。

https://ameblo.jp/dobonchi/entry-12316105008.html

この方のようにウチの事を一切知らなかったという方に評価して頂けたのは本当に嬉しいです。単純にルアーの使い易さ、釣果の部分だけで選んで頂けたという事でしょうから。

ボディ形状をデザインする時、大き目なワームフックをセット出来る事は勿論、逆向きにセットする事でバックスライドさせる事も考慮した形状を考えました。ただし、テキサスリグでカバーからの抜けの良さを考慮して、敢えて扁平ボディにはしていません。ハサミつきで長くゆっくりスライドさせるも良し、ハサミをとってヒゲとレッグのバイブレーションを楽しむも良しのよくばり仕様です。

ソフトベイトシリーズを作る時、最初のテーマに決めたのが「多才多芸である事」。これはNomadにも言える事ですが、一つ一つのソフトベイトが多才であれば、色々な釣り場へ赴く際も荷物を減らす事が出来ます。海外や遠くへ遠征に行く時、一番荷物になるのがソフトベイトです。現地の情報を調べても、あれやこれやと不安になり荷物は増えていきます。しかし、いざ釣りになると特定のワームの特定のカラーばかりが釣れて、結局大半はまた持ち買える羽目になる事も多いと思います。まあ、餌と違ってまた使えるのですが、案外重いですからね、バゲッジに追加料金とか取られるとバカみたいって話しです。

オカッパリなんかもそうですね。「あ、ここってあれがいいかも!」って思ってもルアーを積んだ車は遥か遠く・・・瞬間瞬間を釣っていくオカッパリには、多才なソフトベイトがあると重宝するのではないでしょうか。

正直な所、ソフトベイトそのもののプロデュースは初の試みという事で、市場に受け入れて貰えるのか不安はありましたが、リリース早々から沢山の方からお便りを頂いたり、釣果のご報告を頂いたりもしました。そして何より自分自身で使って本当によく釣れましたし、コンセプト通り様々なシチュエーションで活躍してくれました。本当に作って良かったなと心底思います。

来期は調子に乗って少し小さなサイズの発売を考えています。少し小さめのジグやライトテキサス、ヘビダンなどで使い易いサイズをテスト中です。アベレージサイズの小さな釣り場や、ハイプレッシャーなフィールドでも活躍してくれるようしっかり作り込んでいきます。

2018年も各地でデスサイズが活躍しますように・・・。