日別アーカイブ: 2009年9月20日

真鍮アイ


昨日に引き続きウチのルアーの説明です。
ウチのルアーにはブラス(真鍮)製のタイイングアイを採用しています。
ルアーを作り始めた時、オールドバグリーの真似をして真鍮ワイヤーでリグを作り「おお~アメリカンでカッコイイ~!」なんて一人悦に入っていたものですが、いざ売り物として考えた時、「果たして正しい選択なのか?」と疑問を持った事があります。
真鍮ワイヤーは同径のステンワイヤーに比べて柔らかく、加工は楽になるものの、その分チューンも狂い易く、強度的にもステンに比べれば劣ります。そこでステンとブラス2種類のワイヤーを使った様々な形状のルアーをそれぞれ2個づつ作り、色々なシチュエーションで試してみる事にしました。
そしてその結果判った事は、ステンに比べて弾性に劣る真鍮アイは、ルアーの動きを若干マイルドな物にし、高速リトリーブ時ではルアーの振幅スピードに弾性がついてこれず、一瞬トゥルーチューンが狂うような場面が生じる事があるという事です。
それは狙って作ったような規則正しいS字軌道ではなく、真っ直ぐに泳いでいたルアーが突然横にズレ、また暫くして反対にズレるといった極めてイレギュラーな動きでした。
アングラー自身も予測出来ないイレギュラーというのは、カバーも何もない所で魚のスイッチを入れる事があります。自分自身、これらのルアーで釣りをしていくうち、カリっとした巻き心地のチューンドンピシャのルアーより、ドルルっとした巻き心地(意味判りませんよね・・・)の不規則なルアーを選ぶ機会の方が多くなっている事に気付いたのです。
もちろんここで指す不規則な動きとは、ゆっくり巻いてフラフラ蛇行するという意味ではありません。かなり高速で巻いて初めてフラッ・・・フラッ・・・と軌道が変わるアクションの事です。
そんな訳で、結局個人的趣味を優先し、真鍮製のワイヤー(0.9mm)をタイイングアイとして採用しました。
巻き心地に関しても個人的な趣味になりますが、あまりバタバタカクカクした感覚が好きではありません。
かといってあまりタイトでピッチの細かい「ピリリリリリ~」と抜けてくるような感覚も、「ビ~~~~」とバイブレーションが繋がっているような感じもなぜか釣れるイメージが湧かないでいます。
ウチではプロトタイプのスイムテストをまず手でやります。「んなこたぁ~判ってる」とか言われそうですが、ラインを親指と人差し指で摘み、その先を中指の先に乗せてルアーを勢い良く引っ張ります。目を閉じて指先に集中し、右手の骨格を伝わってくる振動を何度も何度も確かめます。
放っとくと小一時間程やってる時があります。
一見馬鹿みたいな作業ではありますが、過去の自分の経験の中で、最もバイトをイメージ出来る感覚と照らし合わせる儀式のようなものです。
この「巻き感」に関しては、ある狙いがあり、真鍮アイ以外にも大切な要素がいくつかあるのですが・・・。
それはまた、次回の講釈で・・・。