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ワームフック

今現在、これが無いと釣りにならないと思っているタックルのひとつに2種類のフックがあります。
それがこの「バルキースピア」「スキニーリップ」です。

この2種類のフックは自分が元々市販のフックを全てチューンして使っていた形状を、
OWNER社で製品化してくれたもので、自分の釣りにはなくてはならないフックです。
まあ、ここ最近釣りを始めた人の殆どの人は「こんなんで掛かるんか?」という反応をしますが、
不思議と20年以上のキャリアを持ったアングラーからは「ほう!」と簡単に受け入れて貰えます。
ここで20年以上のキャリアと言ったのは訳があります。
国内のバス用オフセットフックが現在の形になったのはおよそ15~6年前だったでしょうか?
当時はその新形状が非常に利に適った物として、殆どのメーカーがその形状を採用し、現在に至ります。
もちろん自分もその恩恵に与ろうと新コンセプトのフックを数年使っていたのですが、この頃から妙にワームのフッキングが感じるようになりました。
いわゆるショートバイトだの、スッポ抜けだのが頻発するようになったのです。
従って、少しでもフッキングの良いオープンフックのジグヘッドを使う事が増えたりもしていたのですが、ある時「これ、フックじゃね?」と思い、昔使っていたフィリップバナナ(TIFA)のオフセットフックを再度使ってみました。するとミスフックは減り、それほど強いフッキングを行わなくてもバラしが減っていきました。
しかし、その頃にはもう、昔の形状のフックは既に市場から消えており、手持ちも少なくなっていきました。
それならと現在の形状のフックをプライヤーで曲げてから使う事を思い付きました。
もちろん結果は想像した通りでした。
それ以来、新しいフックをパッケージから出すと、必ずプライヤーで曲げてから使うようになり、それに興味を持ったOWNERさんが新製品として採用してくれるなったという訳です。
現在のフックしか知らない世代にはこうした話しはにわかには信じて貰えないと思います。
しかし、発売してすぐに「アレいいよ!」と言ってくれた方や、若い世代であっても実際の釣りを通じてそのコンセプトを理解してくれたアングラーが居たのは非常に親近感を覚えます。
やっぱり皆さん自分と同じようなストレスを抱えていたんですね~。
このフック、普通(あえてそう呼びます)のようにフックポイントを一度背から出して、先端を再びワームに刺すようなセッティングはしません。フックポイントは完全にワームに埋めて使用します。

こんな感じでフックをセットします。
それでも普通のフックより弱い力で魚の口を貫通します。
口唇横のカンヌキではなく、手前に魚が走っても上顎の口内にガッチリ掛かります。
勘の良い人や経験値の高い人は簡単に気づくようですが、これらのフックはストレートフックと同じ効果を持っています。
アメリカのプロ達の影響もあり、最近ストレートフックが再び見直されていますが、ストレートフックの良い部分は「ネムッていない」という点にあると思います。
まるで壁面のような大型バスの口内にポイントを掛けていくには、引っ張りあった状態でポイントが外を向く必要があります。アイに向かって真っ直ぐ伸びているようなポイントでは、バレットシンカーによってこじ開けられた口唇の隙間から、簡単にスッポ抜けてしまうでしょう。
バルキースピアは現在のフックの良い部分である懐の深さ(バルキー系ワームに必須の条件)とストレートフックの外向きポイントを融合。
スキニーリップはストレートワームやスピニングタックルに対応するよう、ポイントだけを外に向けた設計です。
どちらも魚の重さや力を使えば、リールの巻きだけでフッキングしてしまうような貫通力を持っています。
テキサスリグのスッポ抜けで悩んでる人は是非使ってみて欲しいフックです。
ちなみにスキニーリップの「リップ」とは、アメフトのラインマンが使うテクのひとつで、
相手の腕や上体を「カチ上げる」方法です。
OWNERの担当者にアメフトでディフェンスラインやってるのが居て、
その顔を見た時に思い付きました。
そのご本人はかなりバルキーですけどね・・・(笑)

クランキンリール

自分の釣り、というよりタックルの認識を大きく変えてくれたリールがあります。

それがこの「スコーピオン1000Mg」なんですが、
このリールに出会うまで、リールで重要視する部分は飛びのスムーズさと、
巻き上げの滑らか、そして耐久性でした。
もちろん少ない力で飛ぶに越した事はありませんし、耐久性は大事です。
出来れば剛性の高いボディで高回転のブレを抑え、
それによる耐久性が全てであるように思っていました。
当時のフラッグシップはコンクエストDC、そして名品と謡われたアンタレスARがありました。
しかし、「インストラクターに見て貰うような価格ではないんですが・・・」と遠慮がちに渡されたこのリールを何度かキャストした時、これまでのシマノリールには無い衝撃が襲ってくるのを感じました。
巻き感度が異常に高い・・・
それまで使っていたコンクエスト100やアンタレスARに比べ、
クランクベイトが発する振動、ボトムやカバーとのタッチ、
ウィードの一本一本を感じるようなセンシティビティーを持っていました。
これ、ギアの素材変えた?
思わずそう訪ねてしまった程でした。
テスト用に用意した様々なロッドのうちで、
シャウラのようにグリップの重いロッドや、弾性の高いカーボンロッドはそれ程顕著ではないものの、
当時使っていたワンオフの6,10ftグラスクランキンロッド(後のFDコンセプトモデルとなったテストモデル)では、明らかな違いとして同行した技術者にもそれが判る程の違いでした。
発売後、このリールは自分のメインリールとなり、クランキンだけでなく、ピッチンフリップやジャークベイト、スピナーベイトにも使用し、ライトハンドル6台、レフトモデル4台を所有するに至り、
ファイナルディメンションシリーズのテストではメインリールとして活躍する程の偏愛ぶりになりました。
当時は「ギア非が高い程鋭敏になる」という風潮もあったのですが、スコーピオン1000Mgと同じジュラルミン製ギアを搭載したアンタレスDCでは、このクランクベイトへの高い感度を示したのはギア非5,8:1のローギアモデルでした。
ここで判ったのはギア非そのものではなく、ハンドル一回転における最大巻上げ長が65cm前後である事。
それがグラスロッドを用いたクランキングで最も鋭敏なタックルマッチングではないかという事でした。
このマッチングでタックルを組む限り、経験の少ない新入社員であっても琵琶湖南湖でのグラスクランキンを容易な物にし、藻ダンゴ状態になる事無く、クランクベイトを泳がす事が出来ました。
自分達の中でクランクベイト=ローギア神話が崩壊した瞬間です。
これにより、メタニウムシリーズの新機種であるメタニウムMgは、単なる’05メタXTのMg化から大きく姿を変えていく事になりました。

ボディ全体の高剛性化と極限の軽量化、人間工学に基づいたボディデザインが成され、同時に巻き感度をアップさせるあらゆるエンジニアリングが施されていきました。
特に気を使ったのがこの部分。

後のレフトモデルやDCユニットの搭載も視野に入れた上で、
3フィンガー、2フィンガーも含めたあらゆる方向へのロッド保持を考慮したパーミングプレートです。
これらのリールの誕生によって、クランクベイトの釣りが自分の中で劇的に変化しました。
これまで、シルキーで滑らかな巻上げにあっても、ティップが曲がっていくまで何が起きたか判らない状態にあっても、より軽く、ストレスフリーで巻き続けられる事が身上と考えていたリールが、
ロッド以上に鋭敏で、ルアーの泳ぎの質まで見極められる存在になった事。
ウィードの種類や密度を感じとり、一秒先を見越して巻く事が出来るようになった事。
魚が食いついてくれるのを巻きながら待つ釣りから、自分で間を作って食わせにいけるようになった事が、どれだけ大きな力になった事でしょう。
その後発売されたアルデバランMgは最後までギア非のテストが難航しました。
で、結局、このサイズで考えられる最大巻上げの7:1と、
市場が望む小径スプールのローギア5,8:1という2機種が発売されました。
自分的にはこのリール、32mm径のスプール内に直径30mm程しかラインを巻いていません。
これによって、最大巻上げ長は約65cm。
メタMg等と同等の巻き上げ長になるという訳です。
アルデバランはスプール径が小さい為、軽いルアーでもレスポンスが良く、
ライトラインや小さなルアーの使用に抜群の適応能力を持っています。
スモールクランクやフラットサイドの使用が多い冬のシャローでは重宝します。

また、先日、友人である「迷ぴあにすと」さんにお願いして、湖北である実験をして貰いました。
「果たしてローギアリールは本当にゆっくり巻けるのか?」というテーマで、
スピナーベイトのスローロールを含む、巻物系のルアーでカメラと共にレンジを追いかけて貰いました。
結果としては、「ほぼ予想通り」という感じでしたが、
ANGLER’S CHANNELに動画と一緒にコラムUPしてくれてますので、興味ある方は是非。
『迷ぴあにすとのWhat’s a Wonderful World』
これまで想像していた事、単なるスペックから予想出来る事とはまったく違う結果が待ってますよ~。
正に「Don’t Think! Feeeeeeeel!!」って感じですw

メタニウムMgカスタム

たまに聞かれる事があります。
「そのリールってイジってます?」
「そのハンドルってステラの奴ですか?」
メーカーのインストラクターである以上基本ノーマルなのですが、
”夢屋”のパーツを使ったり、気に入ったケミカルを試したりする事はあります。
で、自分好みにパーツを組んで、ケミカルチューンで巻き感度を目一杯上げた、
いわば”ツカケン専用クランキンカスタム”(笑)にしているリールもあります。

このメタMgについているハンドルは”夢屋”で出ているパーツで、
れっきとしたベイト用のツマミです。
「夢屋コルクノブ TYPE3ショート」
圧縮コルクで出来ていて、触った感じもとても気に入っています。

このコルクハンドル、昨年かなり真面目にテストした物で、
軽く、手の中で遊ぶ位軽く摘んでいても、
フッキングとかのインパクトの瞬間にはすっぽ抜け難い形状をしています。
見た目には判らないお洒落ポイントもあります。
コレ↓

構造上何の変化もないんですが、「専用」というからには赤くないと・・・。
まあ、外からは見えないけどエンジンのヘッドが赤いとか、そういう感じです。
本当はツノとかも付けたかったのですが、
どう考えても親指に刺さりますので辞めました。
チューンに使う三種の神器はコレです。

IOSファクトリーの01、02オイル、そしてグリースです。
ここの社長さんとは2月にお会いしましたが、
正に”オイル馬鹿一代”
普通じゃありません。
先ずはリールをバラして、各部を脱脂し、馬鹿なオイルで組んでいきます。

脱脂したメインギア。
歯面のみにグリスを塗布していくわけですが、
このグリスが非常にヤバイ。
何がヤバイって、普通メンテした後、使っていくとグリスが劣化し、
滑らかさは下降線を辿っていく訳ですが、
このグリスは暫く使っていくうち歯面を滑らかにする特性があり、
巻き心地が上昇線を辿ります。
で、この一番良い状態を維持してくれるのですから、
億劫でメンテナンスをサボリがちな自分にはとてもありがたいグリスです。
メインとピニオン周り、そしてレベルワインド連動ギアの歯面にグリスを塗布します。

案外大事なのはこの部分。
メインギア軸受けの部分は普通グリスアップされていますが、
一度バラして脱脂し、02PROという粘性の高いオイルをさします。
このオイルは負荷が掛かった状態でも逃げ難く、
揮発性が殆ど無いので、オイルならではの軽い巻き心地を長く維持出来ます。
同じようにレベルワインド周りを02PROで組上げ、
ギアの歯面のように面圧が掛かる部分をグリス。
回転の滑らかさが必要な部分を02PROで組み、
軽い巻き心地になるように仕上げていきます。
もちろんハンドルノブ内も硬いグリスから02PROに代えて、
ハンドルツマミがクルクルと軽く回るように組上げます。
こうする事でリールはとても鋭敏になり、
巻上げ中の僅かな抵抗感を感じる事が出来るようになります。
元々敏感なメタMgですから、このチューンを行えばさらにセンシティブになる訳です。
キャスト(スプール回転)に関係する部分には01PROを使います。
スプール両端のベアリング、スプールシャフトとピニオン内部等です。
この01PROはとても面白い特性を持っていて、回転数によって粘度が変化します。
つまり高回転では高粘度となり、低回転では低粘度になる訳で、
これをキャストすると前半は高回転を抑えてバックラッシュを防ぎ、
後半はス~~~~っと伸びていく訳です。
遠心ブレーキタイプであれば通常より確実にブレーキブロックを減らした状態で使えます。
カバークランキンでは通常3~4個使っていたブロックが、
最近では2個以上使う事がなくなって来ました。
おまけに使用ブロックが少ないので、そのままの状態でロングキャストに以降出来ます。
何より揮発する事が殆ど無いので、釣行の度に注油する必要もなく、
結構長い時間メンテナンスフリーで性能を維持する事が出来ます。
メンテと言えば重要なのがこの部分↓

「シ○アか!?」
なんのこっちゃな画像になってしまいましたが、
ブレーキブロックが接触するブレーキドラムの話しです。
よくこの部分の油分をよく拭き取ってと言いますが、
絶対にやってはいけないのが、パーツクリーナー等で脱脂する事です。
「ティッシュでよ~く拭き取って」も油分は少し残りますが、
パーツクリーナーで洗うと完全脱脂の状態になります。
よく「ブレーキブロックが摩擦熱で変形した」という報告を聞きますが、
大抵はこのドラムを完全脱脂した事が原因である事が多いです。
もし汚れが酷くてパーツクリーナーを使った場合は、
必ず、純正オイルを薄く伸ばしてから拭き取ってください。
くれぐれも、ティッシュと脱脂は別物です。
ちなみにIOSはリールのチューンとしても有名ですが、
オイルやグリスの単品販売もやっています。
知らなかった方、興味のある方はコチラ。
『IOS FACTORY』