先日ここで紹介しましたファイナルディメンションTS168Mの廃盤についてですが、
全て私の勘違いによるものでした。
同製品につきましては、今後も生産、販売を続けていきます。
ご迷惑をお掛けしましたお客様、全国の取り扱い店様、
(株)シマノ営業部の皆様に深くお詫び申し上げます。
誠に申し訳ございませんでした。
塚本謙太郎
「タックル」カテゴリーアーカイブ
便利グッズ
自分は「アバター」よりも「ハート・ロッカー」の方に心惹かれる社会派ミリヲタなんですが、
そんな自分にとって興味深々なメーカーがあります。
大阪の「ライラクス」さんと言えば、
トイガンのカスタムパーツやグッズの世界をリードしてきたメーカーですが、
硬質アルミニウムの切削、カーボンの加工、樹脂成型など、
その高い技術を活かして数年前より釣り業界にも、
「DRESS」というブランドで参入を果たされています。
その技術と斬新なデザインによるフィッシュグリップやカスタムハンドル見たさに、
フィッシングショーでは毎年ブースを抜け出して遊びに行ったりするわけですが・・・
今年一番心惹かれたのはコレ↓
「プロテクションボックス」という名前の、
見るからに丈夫そうな防水仕様のボックスで、
スポンジで中身を守ってくれます。
さて、ここからが感心した部分なんですが、なんとこのスポンジ部分、
こんな風になってます。
約1cm角で切れ込みが入っていて、指で簡単に切り取るが出来ます。
つまり、自分の入れたい物に合わせて簡単に加工出来る訳で、
画像のように高価なカメラを入れるも良し、
宝物のフラッグシップリールを入れるも良し、
命の次に大事なデータが入った魚探を入れるも良しって訳です。
しかもこれが結構安いんですよ。
海外製のこの手のケースに興味を持った方なら判ると思いますが、
こういうケースってしっかりした物買おうと思うと結構高いんですよね。
今後もこういうカユイとこに手が届く商品を作っていって欲しいですね。
楽しみにしてます!
『DRESS』
『プロテクションボックス』
アンリミテッド
ファイナルディメンション・アンリミテッド
(*写真はプロトなので装飾無しです)
今年シマノブースで発表する新シリーズです。
ファイナルディメンション(以下FD)と聞いて皆さんが連想されるのはどんなイメージでしょうか?
巷では”ド変態”とかなじられる事もしばしばですが、概ね偏った状況を想定した特化型という所でしょうか?
しかし、実際の釣り場ではこういう特性が必要な場面が多々あります。
ジャークベイトがハマっていれば、それを一日やり通せるかどうかが釣果を左右します。
スイムベイトが有効なレイクでは、その釣りを全うする事でトロフィーサイズに近づく事が出来ます。
クランクベイトが好きなアングラーにとっては、一日クランキングを続ける事が苦にはなりません。
ライトリグがグッドサイズが連発している時、他のルアーが投げられる事に何のアドバンテージがあるでしょう?
他魚種を釣る場合、”それなりに楽しむ”のであれば、専用ロッドはいらないと思っています。
しかし、”その道を極める”のであれば、どんな釣り、どんな事柄でも、より効率的かつ能動的に、物事を有利に進めてくれる道具は不可欠です。
FDはそういう思想から生まれました。
しかし不思議な物で”専用”というスタンスは適応ルアーの狭さを目的とする所ではありません。
ひとつの事に固執すればするほど、同じ条件をもつ環境に広く順応していくのです。
例えばFHのTS172MHF。
マグナムディープダイバーをロングキャストし、リトリーブ抵抗に負けないトルクバランスを実現すると、
ヘビーウェイトスピナーベイトのスローロールや大型ウェイクベイト、
2oz程度の中型スイムベイトやビッグトレーラーの巻きラバに対応していきました。
”専用”とは幅の狭いピンを指すのではなく、その方向を向いていさえすれば、その共通する必要事項を導き出し、それをサポートしてくれる許容範囲の広い方向性を指すのだと思い知らされます。
さて、そんなド変態の呼び声高いFDが「汎用性」に”特化”した物を目指すとどうなるでしょう?
今回発表させて頂くファイナルディメンション・アンリミテッド、2タイプのベイトモデルがあります。
モデル名は「166ML」と「170M」です。
従来のTS、PVといった呼称にも属しません。
TSでありながらPVでもある、そんなロッドです。
従来TSシリーズに混ぜて使えば、各モデル間の様々な隙間を埋めてくれます。
岸釣りで単体で使えばPV以上のウェイト許容範囲で、ヒットルアーが絞り難い釣りをサポートします。
「166ML」は3/8~1/2oz程度のスピナーベイト、1/2~5/8oz程度のミディアムダイバー、1/2~5/8ozのトップウォーター、130クラスの大型ジャークベイトなど、ハードルアーに広く適応する能力と、食い込みを重視した近距離のライトテキサスやジグにも対応します。
「170M」は従来FDのTS172MHPFとTS168MPFの間を埋める基本スペックを持ちながら、TS172HとTS168Mの間を取り持つ位置付けでもあります。5inノーシンカーで湖流れを感じるセンシティビティと、2ozのスイムベイトをフルキャストするデュラビリティを併せ持つ新感覚ロッドです。
新開発”スパイラルX構造”はネジレ、潰れに強い構造を驚く程軽く構成する事が出来ます。
まあ元々従来のハイパワーX構造でも、流行の言い方をしてしまえば7軸とか8軸とかになるんですが、
今回は部分部分で複数のパターンが混合するのでそういう表記はあえてしません。
(とんでもない軸数になるので・・・)
ハイパワーXのバイアスとはまた違った特性で、シンプル(でもないか)ですが非常に強い構造です。
前に整理したんですが、またいつのまにやらこんな感じになってきました・・・。
まあシマノの知的財産であって、自分の私物ではないんですが、毎年この時期はこんなんなりますw
あ、手前にあるのは昔愛してやまなかった”ALLSTAR”のSJ-1とWR-1です。
GT-2もそうですが、やっぱALLSTARは昔の方が良かったなぁ~。
ね、ヤマト屋さん!
スタンダードか異端児か
ジャークロッドネタが意外に好評だったのでもうひとつ・・・
この2種、個人的に使用頻度が高く長年愛用しているルアーなのですが、
シャッドの方はDUELのSH-60SP、ワームの方はチューブベイトです。
SH-60SPの方はともかく(オールスターで赤羽修弥さんも使ってましたね)、
チューブの方は最近国内ではあまり売ってる所を見なくなりましたね~。
自分は古い人間なのか、単にアメリカかぶれなのか、このチューブベイトが大好きです。
ジグヘッドでも使いますが、テキサスリグでもよく使います。
アメリカでチューブと言えばボビー・ガーランドやギド・ヒブドンといった名前を連想する人も多いと思いますが、
最近このチューブをよく使う選手と言えば、アイク(マイク・アイアコネリ)が有名ですね。
今年のクラシック(ルイジアナ:レッドリバー)でも、チューブテキサスで釣っていました。
この時アイクが釣っていたのは「サリバン」というクリークで、水深は5ft前後という浅いエリアだったのですが、ケイシー・アシュリーのジグも、アイクのチューブテキサスもなんとスイミングで使っていました。
「それが何?」って思う人も多いと思いますが、近年チューブベイトは北部を中心に売れていて、特にゴビー(ハゼ)が大繁殖したエリー湖の攻略用ルアーというイメージが定着していました。
しかしアイクは南部の様々なレイクでチューブを使っていて、好成績を収めています。
そんなチューブベイトを使う為にこれまで様々なロッドを使ってきました。
中でも気に入っていたのはフェニックスのボビー・ガーランドモデル(まんまやんけ)やTS59L。
最近(?)のではメガバスのF3-59XSなんかのティップは硬めでアクションを付けやすく、
ベリー~バットは加重に対してスムーズに曲がっていく・・・
そんなロッドをジグヘッドやライトテキサスに愛用していました。
チューブのジグヘッドの使い方はいくつかあります。
ボトムの落として強めのトゥイッチでリアクションを狙う方法。
スピッピン等でオーバーハングや桟橋をスピーディーにチェックしていく方法。
とにかく何もしないでカーブフォールからそのまま中層をフワフワと漂わせるように巻いてくる方法。
中でも中層を巻いてくる方法はコツを掴み難く、フォールさせる度合いも感覚任せの為、マニュアル化し難い釣りでもありました。(当時それを「そろそろ具合」と呼び、「そろそろかな?」という感覚を把握しているかどうかが釣果を左右しました)
このアバウトさが日本でメジャーになれない理由かもしれません。
こんなアバウトチューブ野郎にとってロッドは案外真剣な悩みでもありました。
こういう釣りをするロッドですから意外に使用用途は広く、
ソフトルアーだけなく小さなシャッドやミノーをジャークするには最適なのですが、
いかんせん今の日本のスピニングロッドにはこういうロッドが殆ど存在しないのです。
そんな訳で「無ければ作ろう鎌倉幕府」のFD開発チーム、嬉々として取り組む訳です。
まず手始めにロッドのレングス。
感覚を掴む為にまずは慣れた5ft9inから初めてみるのですが、
プリプレグ選択の自由度が増した現在、軽く、強力なブランクによって、
「もう少し長くてもよくね?」と・・・。
そこで6ftのプロトも作るんですが「なんか違う・・・」
思ってもみなかった所で暗礁に乗り上げる不安感。
しかし、結局は6ftモデルのグリップは1inぶった切った結果、「おお!!」となり、レングス決定。
次にガイドで問題発生。
近年のニューコンセプトガイドがなんだか違和感・・・。
「ガイド減らそう!ファーストテーパーじゃないんだから6個でOKでしょ?
その方がスキッピンもし易いと思うし・・・」って事でガイド交換。
ブランクの方はこれまで培ったあらゆるプリプレグを試し、プライパターンを吟味。
1アイテム毎に素材も設計も違うFD製法で煮詰めていきます。
こうして完成したFD TS2511L。
チューブやノーシンカーをオーバーハングのピンスポットにスキップさせ、
抵抗の大きなチューブを軽快に跳ねさせ、中層の僅かな変化(バイト)を敏感に感じ取る。
岩盤ディープのドゥードゥリングやライトテキサスのスイミング、
スモールベイトやソフトベイトのジャーキングと、
アングラーのアイデア次第で様々な用途に使える王道とも言えるバッシングスピンになりました。
何気にFD最軽量のスペックとフローターロッドとして地味に人気のあるモデルです。
ちなみにこのロッド・・・昔をよく知る霞時代の友人達には大ウケでした。
「持った瞬間にツカケンプロデュースだと判りましたよ~」との事w
個人的にも一番気に入ってるスピニングモデルです。
ジャーキングロッド
先日からNWBさんのブログや西根さんのブログで話題に登場している2本のロッド、
FD TS160LとFH TS166L
(写真も勝手に拝借w)
お2人を始め、沢山の方々に気に入って貰えてるようで、
企画開発の関わった自分としては嬉しい限りです。
そこで、激動の割りにブログネタの無い自分もこれに乗っかって、
開発秘話というか薀蓄の一つでもタレてみようかと思います。
・FD TS160L
このロッドの開発はUSエリートプロの桐山からの要望でもある、「乗りが良い」と「バラさない」を一から見直す事から始めました。
単にジャークするだけであれば、ある程度ロッドは張りがあった方がアクションし易いのですが、
スティッフな調子のロッドではアクションの基点は作りやすいものの、手首へのキックバックが強くリップに受ける抵抗をグワッと押し切る事が難しくもありました。
そうなると自然と抵抗(リップ)の小さいルアーを選んでしまう訳で、ジャークベイトというより水中のペンシルベイトのような釣りが多くなってしまいます。(もちろんそれが良い時もあります。)
鋭いジャークの中にも、ルアー本来の持っているなめまかしい泳ぎを活かすには、ある程度ラインの張りとロッドの芯が出るタイミングをズラしてやる必要があったのです。
様々なブランクを試した結果、追従性と反発性の丁度良い所を突き詰めるには、ある程度ガラス混入量の多いプリプレグ(カーボンシート)が適している事が見えて来ました。
元々各社のカーボンシートには少なからずガラスが(意図的に)混入している物が多いのですが、その中でも比較的ガラス混入量の多いシートを使った物が特に良い結果を示しました。
通常「グラスコンポジット」というとグラスファイバーのティップとカーボンのバットを繋いだ物や、グラスブランクスのバットの上にカーボンを巻いた物を言う事が多いのですが、このロッドはガラス混入量の多いプリプレグを採用したロッドという事になります。
余談になりますが、よくロッドの素材を判断する場合、30tとか40tとかいういわゆるt数で判断する事が多いと思うのですが、実は同じt数でもガラスや樹脂の混入量でロッドの仕上がりは結構変ってしまいます。
また、それらの裁断時におけるマンドレルへの目付けの角度なんかでもまったく違う竿になったりします。
まあ、使う人には関係ない話しなんですけどねw(じゃあ書くなよ)
まあそんな訳でwある程度方向の見えたプロトは国内だけでなく、桐山によってシャンプレーンやエリーといった北部のスモールマウスレイクに持ち込まれ、一日100本とかいう単位でのスモール乱獲によるハードテストをこなし、発売となった訳です。
まあ、スモールですからね、ジャークの途中でひったくるわ、バイトと同時に高々とジャンプするわ、フルパワーで突進するわで、小さなトリプルフックのジャークベイトの釣りではこの上ないテスト相手です。
このロッドでジャークした瞬間、ブランクの曲がり方を注視していると判るのですが、ベリーからバットでルアーを押し切った瞬間、ティップはルアー側ではなく手前側に向かって曲がっています。
つまりブランクがS字のような状態になっているのですが、これがこのロッドの乗りの良さの秘密です。
一本のブランクスの中にルアーを動かす部分とバイトを吸収する部分が別個に存在するのです。
また、このロッドは曲がりがキレイで投げやすいという特徴も合わせ持っています。ピンポイントにも投げやすいので、オーバーハング等のカバー周りやトップウォーターベイトのピン撃ち、メタルジグのバーチカルジギングにも効果的なロッドになっています。
・FH TS166L
このロッドは元々ダム湖のポッパー(Pop-Rとか)用に作ったプロトタイプがベースで、
160L譲りの乗りの良さと、ルアーの動かしやすさを追求したモデルです。
いわば160Lのロングキャスト版のようなものでした。
この頃丁度、琵琶湖ではOSPのルドラがまだ静かなブームだったのですが、
それをこっそり楽しんでいた杉戸船長が、
「なんかええロッドないか?」と言うのでプロトの一本を渡すと大絶賛。
続いてフロリダからはバーニー・シュルツが、
「もう少し長いジャークベイトロッドが欲しいんだが・・・」
またまたバーニーも大絶賛!
そんな訳でこのロッド、ロングジャークロッドとして時期発売モデルに急浮上。
しかし、このロッドを煮詰める段階で、軽いチタンよりも重いステンガイドの方が良い感じ・・・。
これによってブランクのしなやかさは増し、低弾性特有の曲がりの良さがより実感出来ます。
ブランクの設計もそれほど特殊ではなく、インドネシア工場でも生産出来るレベル。
つまり、理想のアクションを出す為にFDではなくFHで発売する事を選んだ珍しいモデルになりました。
それにしてもこのロッド、非常に幅広い釣りで活躍します。
本来の目的であるロングレンジでのトップウォーターや大型ジャークベイトはもちろん、
細いクリークなど込み入った場所でのシャロークランク、
小さなスピナーベイトやバズベイトにノーシンカースティックベイト。
タフなマッディーシャローでの1/8~3/16ozシンカーで3inクローワームのライトテキサス。
(特にボトムを切ってオダやガマの根を攻めていけるようなアングラーにはかなり・・・)
クリークや流入河川のオカッパリを中心とする時は、この一本で結構イケてしまう事も・・・。
元々あまり発売したくないと思っていたロッドだけに、結構思い入れの強い竿です。
ああもう、なんか書き出すと止まらなくなくのが悪いクセです。
軽く解説するつもりが、無駄に大作(?)になってしまいましたw
ここまで読んでくれた方 お疲れ様でした(爆)。