グラファイトロッドの父を訪ねて8

長い事書いて来ましたが、ついに最終回です。

最終日の朝、North Fork Composites社の近くにある古い倉庫跡のような所に立ち寄りました。
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ここは昔、ゲイリー・ルーミスが自身の名を冠したロッドブランクメイカーを立ち上げた場所。

旧G.Loomis工場跡地です。
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小さな倉庫のような建屋から始まったG.Loomis社は、事業拡大と共に建て増しを続け、最終的に現在の社屋がある場所に引っ越しました。
この近くには現在のG.Loomis社やLamiglas社があり、まさにグラファイトロッドの聖地のような場所なのですが、この場所はさらに特別でした。
G.Loomisのスタートした場所・・・そう思うと、何か特別な感情が湧いてくるような気がするのです。

今回出逢った沢山の人達、その出会いや素晴らしい体験の全てをセッティングしてくれたのはジェネラルマネージャーのジョン。
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元弁護士の肩書き通り、スマートなジェントルマンで、いつも人を笑わせるジョークを言ってる頭のキレる人です。

そんなジョンからいくつかの英語を教わりましたが、中でも一番だったのが野外で催した時のセリフです。我々アウトドアーズマンにとって、野外でトイレはつきものです。でも紳士たる者、「ちょっと立ちションしてくる」じゃスマートじゃありません。

「I gotta talk to a man about a house.(向こうである男と馬について話してくるよ)」

それが紳士のスマートな立ち振る舞い。そして仲間がこう言った時は野暮な詮索はせず、「Go a head!」と笑って送り出すのが決まりですww

もうひとつ勉強になったのは、フライフィッシングロッドの世界にはロッドのフレキシブルさを数値化する為に1ペニー(1¢)コインをティップにぶら下げてベンディングするそうです。North Fork Composites社でも1ペニーの他、様々なウェイトを使ってロッドの曲りをチェックしています。
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NFC社では、ブランクをチェックする際に”天井にティップを当てて曲げてみる”というような事はせず、このようなホワイトボードにブランクを固定し、ウェイト毎のベンディングをペンで描いてチェックします。その為社内の色んな所にこのボードがあり、時にはゲイリー自らチェックを行う事もあります。1ペニーという小さなウェイトを使った、アナログだけど誰の目から見ても公平な製品管理。グラファイト素材という未来的で無機質なイメージから、なぜか感じるハンドメイドのような温かさの正体は、ゲイリー・ルーミスと職人達のプライドだったのだと改めて思い知りました。
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ゲイリーと今後の事について色々話しをした後、ゲイリーと奥さんのスージー、ジョンと最後のランチを食べて、ポートランド国際空港に送って貰いました。

これからもきっと何度か訪れる事になるであろうウッドランドとポートランド、今回出逢った全ての友人達に感謝感謝です。

帰りの飛行機は計器のトラブルで出発が2時間遅れ、到着した成田で強制宿泊、DELTAとANA相手に大モメにモメる羽目になりましたが、とても楽しい旅でしたwww