the漁師Crank、Warloqに続く3兄弟の末弟は55mmクラスのフラットサイドクランク。
ウッドクランク並みのキレのあるハイピッチアクションと、インジェクションならではの優れた空力デザインによって、重心移動などを使わないサイレントボディでありながら、風の中でもストレスなくキャスト出来る正に反則級のフラットサイドクランク、”Cheator”(チーター)を発表します。
チーターのボディサイズは55mm。
バレットヘッドなどと同じスモールサイズの部類です。
フラットサイドなのでボディ幅はかなり狭く、リップも小型のハーフラウンドタイプです。
同じフラットサイドタイプのロデオドライブ(KTW)と比べるとこんな感じで、一回り小さいのが分かると思います。
フラットサイドクランクというのは本来プアでクリアなリザーバーや河川等をターゲットとしたルアーです。
なので警戒心を与えないようラトルサウンドがしない固定重心が望ましい。
そしてアクションは泳ぎ出しの良いハイピッチで、高速リトリーブ出来る軽い巻き感がベスト。
という理由からこれまではウッド製のハンドメイドが主流だったのですが、ウッド製は構造上どうしてもマスが集中して回転し易く、飛距離においてはイマイチでした。
しかし、プアでクリアで魚に警戒心を与えないというアプローチなら、より遠くからのアプローチが不可欠です。
なのでmibroではウッド並みのアクションを持ちながら、重心を固定したままで、空気抵抗をコントロールして回転し難いデザインを探し出し、それをインジェクションで量産する事にしました。
まあウッドルアーではよくある事なのですが、天然素材というのは部位によって比重がまちまちで、同じルアーなのに全然違う重さになったりする事があります。
高い浮力を持ったラウンドタイプならまだしも、ボディの薄いフラットサイドだと飛びも含めてセッティングは結構ギリギリで、アクションが違う物や、最悪沈んでしまう物も出来てしまいます。
また逆に凄い絶妙なバランスで出来ていて、最高のパフォーマンスを発揮してくれるルアーもあります。いわゆる「超当たりルアー」という奴です。
ルアー作りを生業としている人間は、出来れば全ての人にこの「超当たりルアー」が行き渡って欲しいと考え、あの手この手で制作方法を模索し、日々これを目標として腕を磨きますが、実際にもし「超当たりルアー」だけを販売するとしたら、いったい何個のルアーを作って、何個破棄しないといけないでしょう。そうなるとそのルアーの価格はとんでもない金額となり、例え運よくそれを手に入れたとしても、それを水の中にキャストする勇気は沸いてこないと思います。
しかし「超当たりルアー」を1個だけ作って、それをインジェクションで完全再現すれば、安く何個でも数作る事が出来て、安心してキャストする事が出来るのではないでしょうか。
チーターの開発はいつものようにウッドで作ったコンセプトモデルをベースに図面を起こすスタイル。相変わらずのアナログな作業ですが、これが一番解りやすくて納得出来ます。
同時に国内外の同業他社さんのルアーを投げて、同じクラスのフラットサイドの飛距離や飛行姿勢を比較研究し、自身のコンセプトモデルを制作してテストに挑みました。
しかしアクションはすぐに合格点を出せるのですが、今回のテーマである飛びがイマイチ。モデルを作っては近くの川でキャストして、飛行中の姿勢を凝視。そしてまたすぐ帰って次のモデルを制作するという作業だと、冬という季節もあって1日3個のモデルアップが限界また翌日という日々。
ウェイトの位置やリップの形状など、基本アクションとトータルウェイトを変えずに試行錯誤を重ね、遂に理想のモデルが完成し鼻水飛ばして喜んだのは小雪の舞う正月明けの事でした。
そしてすぐさま図面に取り掛かり、ABSの切削モデルが完成した春からは本格的な実釣テスト。
リンクの動画で10分位の所から投げているのがその切削モデルです。
ま、見えませんが・・・w
そんなこんなで完成したフラットサイドクランクにはCheatorという名前を付けました。
アフリカの俊足の動物ではなく、ゲームなどでズルする奴とか、無敵に強いキャラクターとかに使われる「Cheat」(チート)の方で、ウッドクランク並みのアクションと、インジェクションならではキャスタビリティと量産性を持つチートなフラットサイドという意味合いで名付けました。
また、今回のチーターも兄たちと同じく気合の入った顔をしています。
ルアーのフォルム自体もそうなのですが、やる気のある顔とか、綺麗なラインとか、ルアーそのものに美意識を持つのってとても大事だと個人的にいつも思ってます。
ファンシーなデザインが好きって人をDisるつもりはないんですが、タックルにしろ、ルアーにしろ、カッコイイって大事だし、釣れる気にさせてくれるような気がします。
なのでチーターも、流れるようなフォルムと厳つい顔が同居したデザインになっています。
続く・・・w