日別アーカイブ: 2012年7月12日

BULLET HEAD

北の聖地の延々と続くリップラップで、バレットヘッドを巻き倒してきました。
あの強烈なゴロタ石を5日間に渡って巻き続けるというのは、ある意味耐久テストです。

ところで、近年発売された多くのクランクベイトが目指す方向性は、
概ね「基盤リップを使ったバルサクランクにどれだけ近づけるか」だと思います。
確かに魚を釣る上で大切なのかも知れませんが、
こういうフィールドにおいては、別の要素も必要になってきます。
っていうか、これまで基盤でバルサなクランクベイトを販売してきたウチにとって、
そこを目指すのはまったく意味がありません。
それでもインジェクションのクランクベイトを作ったのは、
「インジェクションにしか出来ない事がある」からです。
気が付くとルアー作りを初めて10年が過ぎてしまっていました。
今は多くの仲間も居て、あらゆるシチュエーションで活躍する仲間のルアー達があります。
それでも、自分のボックスからプラのルアーが無くなる事はありません。
どんなに運動性に優れたルアーがあろうと、どんなに斬新なインディーズがあろうと、
ベーシックなルアー達が無くなる事はなかったのです。

ウッドルアーにはウッドルアーにしか出来ないアクションがあるように、
プラにはプラにしか出来ない事があるのです。

数々の名作アメリカンインジェクションを使う内に、
「こういうインジェクションクランクが欲しい」と思うようになりました。
それは、B7を作った時と同じ、「欲しい物が無ければ自分で作る」という動機でした。

                           (UBSさん:写真拝借しましたw)
MIBROバレットヘッドに込めたのは、”想い”でも”こだわり”でもなく、ただの渇望ですw
・ロッドを立ててゆっくり巻けば、左右に大きく倒れ込むようなアクションで、30cmのシャローをトレース出来ます。
・ロッドを倒し、リトリーブ速度を上げれば、ベリーフックを支点にしたミディアムウォブルに変化し、
高速リトリーブでは絶妙なフラつきでリアクションバイトを誘います。
・小粒な固定重心でありながら、キャスタビリティに優れ、長く広く魚を誘い続けます。
・浮力が強いのでレンジコントロールが容易で、カバーに突っ込んだ際もキックバックし易いです。

そしてここからが重要です。w
基盤リップはその薄さとエッジにより水噛みが強く、多少形状に難のあるボディでも泳がせてしまいます。
しかし、その短所として、カバーに対しても噛み易く、ロック系では削れやすく、
グラス(ウィード)系は絡みやすい為、多少の(クランキンに対する)練習が必要です。
バレットヘッドはABSのリップで、エッジを落としたコフィン形状です。
それによって、
・ソフトカバーの抜けがよく、ハードカバーへの当たりが小さいです。
これによって、グラスエリアでの引っ掛かりが少なく、
リップラップのようなロックカバーでは、リップの削れが少ないだけでなく、
リトリーブ中のアングラーへのストレスが少なく、バイトのみに集中しやすくなります。
つまりリップの当たり面を大きく取る事で、カバーマテリアルへの引っかかりを少なくし、タッチをソフトにする方法です。
しかしこれには、極薄リップの性能に頼らない、「泳ぐボディシェイプ」が不可欠で、
もし、そうでなければ、「カバーに当ててないと釣れないルアー」とか、
「超ひっかからないけど、まったく釣れないルアー」とかになってしまいます。
カバーマテリアル云々よりもまず、素材の特性を活かし、最高の泳ぎを狙ったハンドメウッドに対し、
多数の要素を凝縮し、様々な場面で使用する事を想定したインジェクション。
”鉄砲玉”と名付けたルアーの使命は、どこでもまず先頭で突っ込んでいく事。
未知のフィールドこそがバレットヘッドの主戦場です。
今回、ただひたすらに投げ倒し、多くの友人達から貴重な感想も頂けました。
本当に有意義な時間を過ごす事が出来、とても感謝しています。
こういう環境こそが、いつも良いイマジネーションを与えてくれます。
何kmと続くリップラップ・・・。
真っ青な大きな大きな空・・・。

まるでアメリカのような雄大な釣りが満喫できます。
ああ、もうまた行きたくなってしまったwww