ストリームデザインの協力により、KTWLURES初のトップウォーターベイトが完成しました。
昨年はJPRシリーズのテストだったり、痴虫と釣りしたりと、トップを投げる機会がとても多かったせいか、自然と自分でもあれこれ試作したりしてました。しかしながらこれまでクランクベイトばっかり作ってきましたので、トップになるとイマイチイメージ通りにいきません。正に試行錯誤です。
そこで古くからの友人でもあるストリームデザインの鈴木孝典シャチョーに相談してみる事にしました。
鈴木シャチョーとストリームデザインのクラフトマン達は90年代に爆発的人気を誇った某トップウォーターメーカーに在籍したメンバー。僕がルアー作りを始めた頃にも色々相談に乗って貰ったメンバー達でもあります。今はまだトップのリリースはありませんが、トップウォーターは僕より遥か先の知識と経験があるに違いありません。
当初、僕が構想していたのはポッパータイプで、ラインスラックを使ってポコンと水中に深く音を響かせるイメージ・・・。もちろんカバーの中ですいすいと首振り、長めにストロークすればスプラッシュを飛ばせる。そんなロッドワーク次第で色々やれるルアーを妄想してましたww
そんな僕にストリームデザインが提案してきたのは、なんとシングルスイッシャー。
シングルスイッシャーというとカラカラシュルシュルと首振ってるだけで、シャローカバーに浮いた魚にはいいけど、深いとこから魚を浮かせるイメージはなかった僕は正直不満顔だったと思います。しかし鈴木シャチョーは譲らず、強い口調で「強いシングルスイッシャーってあったら良くないですか?」。そんな一言から、いい歳したオッサン二人が住宅街の中の池でルアーを投げる日々が始まりまった訳ですが、全部書くと長くなりますし、スペース的にもったいないので割愛しますw
さて、そんなこんなで出来上がったこのルアー。
一見クランクベイトにペラつけただけのようにも見えますが、実はこの形状に意味があります。
まず、ペンシルベイトやシングルスイッシャーをダイブさせようとしたら、テールにウェイトを入れてボディを立ち気味にして、ノーズの先端部分にアイを付けたセッティングを行います(ザラスプークをアイをボディ先端に付け替えると潜りやすくなるのと同じです)。しかしこのルアーはご覧のようにアイが僅かにボディ下側に付いています。これではルアーは水面を滑ってしまい潜りません。
そこでお腹の丸みに注目です。細長い物と丸い物、どちらが抵抗があるかご存知でしょうか。答えは丸い物の方が抵抗が強いのです。お腹の部分の丸みによって出来た抵抗がボディを強引に水中に引き込み、無理やりダイブさせます。つまりボディの背中とお腹側の形状の差によって生まれる水流を科学したボディ形状と言えるでしょう。もちろん、水流の抵抗差が出難いような軽いロッドワークでは下向きアイの特性の通りスライド幅の大きな軽やかな首振りダートになります。受ける水流の強弱でシングルスイッシャーとリッピングベイトと、まったく違う2種類の特性にコントロールしてしまう辺りがストリームデザインの真骨頂とも言えます。
また、このボディ形状にしたもうひとつの理由がウェイトの位置と重さです。多くのトップウォータールアーのウェイトはテール部分かウェイト無しですが、このルアーにはベリーフックの辺りにウェイトがあります。水流抵抗の差によって強引にダイブさせられたボディは激しく身もだえしながら潜っていきます。またペラの回転方向によって生じたロールは、水中で勢いを無くしたルアーが浮上する際にボディを回転させ、アクションの度にラインがよれてトラブルの原因にもなります。
ベリー部分にウェイトが入った低重心ボディはアクションの破たんを抑え、減速の際には水中で振り子のようにロールします。ちょうどクランクベイトでキルを入れた時、ボディがプルプルとロールするようにです。そのアクションを視覚的もアピール出来るように、背中とお腹で上下に塗り分けたカラーで仕上げました。ジュボッと潜らせて水中でクネクネクネ、ペラがキラキラ光りながらスウ~と浮いてくる・・・。上下対称の二次元切削ボディでは成しえない、クランク屋ならではのアクションを是非体験して貰いたいです。
まあ、文章ばっかりではアレなんでもう少し写真を載せておきます。
B7と比べて長さはほぼ同じですが、横幅、縦幅ともにだいぶスリムになってます。
ちょうどB7とDay2Shadの間のようなシェイプになってますw
マテリアルはB7deep(右)と同じレッドシダー。
水中にしっかりアピール出来る事、飛距離を稼ぎやすく(回転しない)キャストコントロールが容易な重さ、海外での使用を想定し、スモールマウスやスポッテッドの強烈なバイトにも弾き飛ばされない比重。それらを総合してこの素材を選びました。
ルアーの名前は既にストリームデザインのブログにも載っております通り「Walter」といいます。
英語なら”ワルター”ですが、ここはドイツ語っぽく”ヴァルター”と呼んでやって下さい。
色々なタイプのラインやタックルで使ってみましたが、ラインはアクションのコントロール、トラブルの少なさから言ってナイロンがお勧めです。 テスト中殆どの時間をJPR65Lにナイロン14~16lbで使用しました。
今回、製作はストリームデザイン、販売はKTWLURESとなります。
カラーはスペックルドシャッド、アラバマレッドクロー、ブラウンチャート。
今回鈴木シャチョーの拘りで「KTWっぽいカラー」という事と、先述したロールを意識した上下塗り分けで選考された3色です。
アフターのカバー周りは勿論の事、これからサマーパターンに向かっていく中で、ブレイクの上や縦ストに浮いた魚に使ってみて下さい。ポッパーのように水中に音を響かせ、細かな気泡とロールアクションで魚を狂わせるリッピングベイト。きっと楽しい夏になると思いますよ。
65mm、1/2oz、 ST36BC#6
価格は¥3,400になります。
*ちょっとお高いですが、コラボというだからという訳ではなく、昨今の原材料高騰により、全体の価格を見直さなければならなくなりました。暫くは価格を変えずに頑張ってみましたが、ちょっと限界です・・・。
そういう訳で、今後のKTWのルアーも全体に価格が改正になります。申し訳ありません。