日別アーカイブ: 2010年11月12日

オレンジ爆弾

先日のバサクラ「塊」ブースで販売させて頂いたスナブS5Rですが、
色んな方からご質問やご意見頂いた中で、
特にこのカラーに関するご質問が多かった気がします。

・ファイヤークラッカー
別名を「クレイジータカノリ」と申しまして、
このカラーには色々と思い入れがあったりします。
このカラーリングには元ネタというか、
凄く印象的な出会いがありました。
もうかれこれ18年位前だったでしょうか。
とあるリザーバーで友人と釣りをしていたのですが、
その友人というのが、現在Angler’s Channelでコラムを執筆している、
ストリームデザイン代表 鈴木孝典さん。

20年来の友人です。
その日はまだ4月末とはいえ、よく晴れた暖かい日で、
クリアな水質と相まって、水の中がよく見える日でした。
ボディウォーターにある急深なストレッチは、ボート真下で7m、
ボトムから伸びたティンバーのトップが3m付近に位置する、という感じ。
まあ、こちとら普通に3.5m位潜るディープダイバーを投げている訳ですが、
バックシートから何やらオレンジ色の塊が飛び出し、
クリアな水中を強烈なオレンジ色に発色する物体が元気に泳いでいるわけですよ。
「ああ、また何かおふざけ始めよったな・・・」と。
当時、普通に考えてクリアな深いスポットに、
ド派手オレンジなシャロークランク投げるとか思い浮かばない訳ですよ。
完全にウケ狙いか、前日の徹夜が予想以上に堪えているかのどちらかだと。
どちらにしても、目の端にチラチラ映るオレンジの物体と、
何やら得意げな鈴木さんのどや顔がとにかく不快極まりないと。
その時です。
明るい太陽光をいっぱいに浴びて、
よく言えば天真爛漫、
悪く言えば阿呆丸出しなオレンジの物体がフッと消えました。
代わりに白いギラギラした大きな物が身を翻しています。
「来ました!」
見りゃ解るよ。
「いやあ、思った通りですよ!」
本当かよ?
まあ、こういうノリがいいというか、
冗談みたいな展開に付き合ってくれる魚ってのはどこでも居るもんです。
でも、あまり多いとこういう手合いがつけあがるので、
出来れば程ほどにしておいて欲しい。
それが正直自分の感想でした。
しかしそこから鈴木タカノリ怒涛のラッシュが始まります。
こちらも手を変え、品を変え、必死でついていくんですが、
ジリジリとスコアが開いていく訳です。
バックシーターにですよ?
当時の2人の間には(今でもですが)、
どちらかが先に見つけたパターン(ヒットルアー)を真似る事は、
ものっすごく恥ずかしい事で、
真似る位なら切腹(ボウズ)した方がいいという風潮がありました。
でも、お互い自分が見つけたヒットルアーを相手に認めさせたくて、
毎回なんかしらネタを見つけてくる訳です。
しかし今回は真似しようにもそんなオレンジの物体見た事がない訳で、
真似のしようもない状態な訳です。
でも、この自分の引き出しにないクランキンには、
物凄い可能性が秘められていて、
これを体感しておくのと、そうでないのとでは、
後の釣りを大きく左右してしまうような魅力を感じていました。
もうね、本当に・・・血を吐くような思いで、
唇を噛みしめながら、か細い声で呼んだんですよ。
「タカノリ・・・」
すると彼はこれまでに輪をかけた得意満面の笑顔でこう言いました。
「わかってますよ。」
そして愛用のバッグから取り出したのは、
半ダース(6個)入りの箱。
それを丸ごと差し出しながら、
「謙太郎さんの分です!」
「え?お金ですか?もちろん要りませんよ、
このルアーの良さを解って貰えて、使って貰えたら嬉しいんですよ。
謙太郎さんに。」
この時初めて知りましたね。
人は人を屈服させた時、こんなにドSな笑顔を見せるのだと。
「そう・・・こうなる事は解っていた・・・
こうなるように初めから決まっていたんだ!」
とばかりに6個入りの箱を丸ごとバッグに持参してくる周到さに、
人生で味わった事がないほどの屈辱に切れる程唇を噛みしめたのでした。
そしてその時渡されたルアーがこちら。

・RAPARA ラトリンファットラップ RFR-4
その後このオレンジ爆弾は仲間内の定番アイテムとなり、
プランクトン濃度の低い早春や晩秋に活躍。
ルアー作りを始めた頃、初期のB7やType-Cでリリースした事があります。
しかし、以前塗った時は、背中にブルーパールを入れたり、
ベリーに赤を入れたり、色々やってたんですが、
今回はコーチドックパターンのみのシンプルなデザインで塗ってみました。
自分的には「デビルかっこいい」感じになったと思ってたんですが、
ついたあだ名が「波平さん」w
「てっぺんに一本だけ毛を生やしたいルアー№1」の称号を頂きました。
ちなみにこのカラー、以前霞水系で試した時は、
5月半ば~7月頭。
いわゆるアフター期の葦周りで非常に効果的でした。
翌年も友人から同様の報告頂いてます。
なぜかピンクのセンコーが活躍するこの時期、
今回のオールスターでご購入頂いた方々は、
是非このオレンジ爆弾も仲間に加えてみて下さい。
でわでわ。