続、たかがリール、されどリール

 

リールの話しの続きです。

先日のエントリーでは色々なご意見も頂きましたが、自分は「昔のリールの方が良かったよ」という趣旨で書いた物ではなく、単純にフィッシングショーに向けての業界のワクワク感を、昔リール開発に関わっていた物として、当時の経験と共に懐かしくご紹介したものです。

因みに自分は新しい物大好きで無類のミーハー。新機構とか新しい構造とかいう物にワクワクする性分で、毎年新製品の並ぶこの時期が大好きです。

そんな自分が最近愛用しているのはダイワのリールです。

もちろんシマノやABUのリールも持っていますが、使用頻度で言えば圧倒的にダイワのリールを使っている事が多いです。

 

特に所有台数が多く、最も使用頻度が高いのがTATULA-SVとアルファスSVの2機種。

巻き物にはTATULA、撃ち物にはアルファスのSVを使っています。

一応STEEZなんかも持ってはいるのですが、安くて使い易いのでついつい手が伸びてしまいます。

 

さて、自分がダイワを使う理由の大半はブレーキシステムにあります。

物質的な摩擦抵抗でブレーキを掛ける遠心ブレーキに比べて、無接点電磁誘導ブレーキというのは天候や気温に左右されず、メンテナンスの回数も少なくて済むのでとても楽です。

近年のシマノリールは外部からブレーキ量をコントロール出来ますが、以前のSVSはブレーキ量を変える為にサイドプレートを開けなければならず、特に雨の日は濡れた指でブレーキブロックを触るのは非常にストレスでした。

また、風向きや投げる方向、急な思い付きでルアーをチェンジした際、ブレーキのセッティングを瞬時に換える事が出来るのは外部から楽にコントロールできるマグブレーキは、刻々と変わるフィールドではとても理に敵っていると思うのです。

しかし、先述した通り最近のシマノリールに搭載されたブレーキは外部から簡単にブレーキ力を調整出来ます。それでもダイワのリールを好んで使う訳はメカニカルブレーキにあります。

この動画はかなり以前の物で、しかもリールはジリオンSV-TWのものですが、初めてSVスプールを使用した時にGoproで撮影したものです。

音声での解説をしてないので分り難いと思いますが、まずクラッチを切ってルアーを水面に落とすと激しくバックラッシュするくらいメカニカルブレーキをスカスカにしています。しかし、そのままキャストしてルアーが水面に落ちてもノーサミングでバックラッシュ無し。ルアーは7gのスイムジグにシャッドテールワームとそれほど飛距離が出るルアーでもないのですが、充分な飛距離が出ている事が分かると思います。

 

これまでメカニカルブレーキはルアーがゆっくり落ちていって、着水したら止まる程度に締め込んで使うのが良いと言われて来ました。しかしこのSVスプールはスプールがガタつくくらい緩めてもバックラッシュしないのです。

クランクベイトでウッドカバーや岩場を巻いてくるとき、締め込んだメカニカルブレーキというのは巻き感度を抑え込んで水中の情報をアングラーに伝達するのを阻害します。もっと平たく言えばメカニカルブレーキが緩い方が巻き感度が高くなります。

カバー周りを攻める際、キャストがどうしても変則的なりがちなのでバックラッシュし難いブレーキセッティングは不可欠なのですが、巻き感度を阻害せずに極力フリーな巻き感度でリトリーブする事もカバー回避率を上げ、小さなバイトを感知する為に必要な要素です。

シャローカバーを狙う際には何メートル飛んだかよりも、正確なキャストを素早く連続で行える事と、釣れる巻き感度でリトリーブする事が重要だと思うのです。

そんな訳で現状自分の釣りのスタイルに最もマッチしているのがダイワのリールで、中でもSVスプールを搭載したこの2機種は価格も手頃で使い易いです。

ただ、リールなんて日進月歩です。ちょっとしたアイディアでどんどん進歩し、古いフォーマットや価値観なんてあっという間に置いて行かれる世界です。

今年も各社色々なモデルが発表されています。アジアの工場の技術がどんどん進歩しているので、昔ならエントリーモデルと言われるような価格帯で、数年前のフラッグシップ並みの高性能なリールが続々発売されるようになりました。フラッグシップ1台買うよりも、中価格帯のリールを2台、いや、エントリーモデルを3台買った方が釣果に結び付く・・・と言われる時代がやってきたのかも知れませんね~。

独り勝ち状態のシマノか、先進的なチャレンジを続けるダイワか、伝統のABUか、はたまた新たな勢力が台頭するか・・・とても楽しみな2019年です。