Nomadのブランクについて

各地から沢山のビッグバス捕獲のご報告を頂くNomadロッド達。

操作性の良さや、トルクフルなブランク特性で、使い易く、「獲れるロッド」として高い評価を頂き、とても嬉しい気持ちです。

しかし、称賛のお声もあればお叱りの声もある訳で・・・。

お問合せを頂く中で結構多いのがコスメの部分。特にブランクの表面処理について多く頂きます。

弊社Nomadシリーズではブランク成型後に表面を研磨したサンディング後、塗装を行わない無塗装状態でのフィニッシュを採用しています。

ロッドブランクは芯金に高圧で巻き付けたスクリムの表面に、特殊なテープを巻いて焼き入れを行います。この焼き入れの際にスクリムはレジンが溶けて膨張し、逆にテープは収縮する事で圧が増し、焼き入れが完了します。

焼き入れ完了後はこのテープを剥がすわけですが、この際細かく巻かれたテープの痕がブランク表面に横筋のように残ります。これをこのままにしたものが”アンサンド(研磨しない)フィニッシュ”といいます。

Nomadでは表面のテープ痕が残らないくらいまで研磨する”サンディングフィニッシュ”というものを採用しています。

これが生のブランクの状態で、ロッド作りとはここから塗装をしたり、装飾用のカーボンをバット部分に巻き付けたりしてお化粧をしていくわけですが、mibroではより生のブランクを活かしたロッド作りをしていきたいと思い、サンディング処理のみのフィニッシュとしています。20代の頃から愛用していたフェニックスの一部商品やG.Loomisのロッドがそうであったように、最近まで愛用していたNorth Fork Composites社のロッドがそうであるように、なるべく無駄を省いて、ブランク本来のトルク感や繊細さを釣果に繋げていきたいと思ったからです。

実はこの処理方法、ロッド工場には嫌がられますw

研磨という作業は砥石を使ってブランク表面を削る訳ですから細かい傷が残ります。中には結構深い傷もあって破断の原因になるものもあるかもしれません。しかし、表面を塗装したり装飾する事でその傷は見え難いものになります。しかし塗装や装飾をしないという事はブランクの状態がはっきりと見えてしまう訳で、作業のミスはそのまま材料のロスに繋がります。従って熟練の技術者が1本1本精密に作業する必要がある訳で、研磨処理のみというフィニッシュは工場側からしてみれば誤魔化しの利かない製品作りが必要となり、余計な手間や神経を使う作業となります。

サンディング処理にした理由はもちろんそれだけではありません。実は余分な装飾や塗料を使わない事でよりブランクを軽く感じる事が出来ます。例えば同じ重量のロッドを作る場合、構成するパーツが同じなら塗装や装飾を使わない方が重量に余裕があります。つまり塗装やコスメの分をスクリム(カーボン)に割けるので、同じ操作感でもトルクのある特性で余裕のある設計が出来ます。Nomadでは全モデルに丈夫なステンレスフレームのガイドを採用していますが、チタンとの重量差を塗装やコスメが埋めているので非常に軽い操作感で扱えます。

また、コスメや塗装を省略する事と、ガイドをステンレスにする事でコストを抑える事が出来、高性能なロッドをより安価な価格で提供出来るという利点もあります。

難点があるとしたら、塗装や装飾を施したブランクに比べると見た目は綺麗ではない事です。カーボンの柄も装飾用ほど綺麗に揃っている訳ではありませんし、ところどころにスクリムの合わせ目が光って見えたりして、気になる人には受け入れ難いと思います。

そもそもNomadシリーズにおいてはコスメの部分にそれほど拘っていません。リールシートなどは輸入品の為非常に高価ですし、EVAなどもオリジナル形状でそれなりに拘って生産しています。しかしそれらを少しでも安い価格で市場投入したかったので、検品項目の中で外観の部分は多少甘めに設定している部分があります。お金を掛ける部分はしっかり掛ける。必要無い部分は状略してコストを削減する。最初からこうしたポリシーでNomadシリーズの開発に取り組みました。

なのでせっかくご興味を持って頂いたとしても、見た目の部分でもしかしたらご満足頂けないかも知れません。

「32,000円は大金だ、決して安い買い物じゃない」と思う方もいるかも知れません。

そうした方は是非、通販ではなく店頭でよく現物確認されてからご購入頂けますようお願い申し上げます。

また、ご購入後の商品について直接弊社にお問合せを頂く場合がありますが、不具合等に関するご質問はまず、ご購入頂いた販売店様にご連絡頂けますようお願い申し上げます。

ご購入頂いた皆さんが素敵なNomadライフを送れますように・・・。