月別アーカイブ: 2018年4月

可変ブレード

アパッチDWが発売され、釣果もチラホラ目にするようになりました。

お買い上げ頂きました皆さん、ありがとうございます。

さて、本日はそんなアパッチ族の皆さんにアパッチDWの調整方法をご案内します。

アパッチといえば魚が暴れても伸び難い、太くて丈夫なアームとトレーラーフック要らずのビッグフック。フレア状態をキープする特殊なスカートシステムが特長ですが、今回DWで目を引くのがこの逆ハンマードブレードです。

この凸凹の効果については以前このブログでご紹介しましたが、実はこのブレードにはもうひとつの効果が隠されています。

このオリジナルデザインのブレードは、丈夫な本体とは対照的にとても薄く、柔らかい素材で作られています。どれくらい柔らかいかというと、指先に力を込めるだけで簡単に曲げる事が出来る位柔らかいです。

「それがどうした」と思うかも知れませんが、それこそがこのブレードのもう一つの性能なのです。

スピナーベイトのアクションはほぼほぼブレードで決まります。サイズや形状は元より、ブレードのカップ角でその特色は随分違う物になってきます。

これはブレードを横割りにしたカットモデルを模したイラストです。そう思って下さい。そう、だんだん貴方にはそう見えてきます。そうそう、その調子です。

左の浅い方はカップが緩く、平たい形状をしています。

すると水中では回転する角度が立って、より大きなバイブレーションを発生する代わりに、巻き抵抗も大きくなります。

こんな感じです。何の絵か解らない人は今すぐお風呂に行ってスピナーベイトを泳がせてみて下さい。そしてこのイラストがその光景に重なるまで何度も凝視してください。

さあ、モタモタしてると置いて行きますよ。

右の深い方のカップは回転角が寝ていて、水の抵抗が少ないのでスルスルと軽く巻けます。

図解するとこんな感じです。お風呂にはもう行かなくていいですか?そうですか。

とまあこんな感じでスピナーベイトの泳ぎの質はブレードのカップ形状で簡単に変える事が出来ます。

それが今回の話しにどう繋がるかと言いますと、ワタクシ、買ってきたスピナーベイト(特にダブルウィロー)を吊るしで使う事はありません。というか同じ個体のスピナーベイトであってもチョコチョコとブレードのカップを弄りながら使います。

例えば風が吹いた時、例えば流れがある時、魚の活性が高い時、透明度が高い時など、色んな条件の中でその日の雰囲気の中で巻きたい速度やレンジをブレードのカップで調整します。速く、又はバイブレーション弱めで巻きたい時はカップ増しで。少し強めでゆっくり巻きたい時はカップ浅めに。いつも持ち歩いてるプライヤーでブレードの端を摘んで調整していました。それはもう、風が強い日にリールのブレーキを締めるように、買ってきたクランクベイトをトゥルーチューンするように、日頃からごく普通にブレードの調整をしています。

なので自分のスピナーベイトのブレードは、どれもプライヤーで挟んだ小傷がいっぱいで、なかなかに汚い事になっています。そこでアパッチDWのブレードには指で簡単に曲げれて、戻しても綺麗な状態を保てるような、そんな加工を施しました。

まあ、こう書くと大層面倒な話しに思えてくるかも知れませんが、あまり難しく考える必要はないと思います。アングラーそれぞれが持ってる巻きスピードの感覚に合わせて調整して貰ってもいいですし、速いのと遅いのをボックスに忍ばせておいて、ここぞというとこで使い分けるのもいいと思います。ただ自分はその場で結構調整してしまう人間なので、それを工具無しでやりたかっただけなのです。

先日、関東のお店にお邪魔した際、お客さんやお店の方に話したら非常に面白がって頂けたのと、地元の友人達が早速実践してくれているようなのでブログで紹介する事にしました。

アングラーの意思にアジャスト出来るマルチパーパスなスピナーベイト”アパッチDW”。もし良かったら参考にしてみて下さい。

Nomadのブランクについて

各地から沢山のビッグバス捕獲のご報告を頂くNomadロッド達。

操作性の良さや、トルクフルなブランク特性で、使い易く、「獲れるロッド」として高い評価を頂き、とても嬉しい気持ちです。

しかし、称賛のお声もあればお叱りの声もある訳で・・・。

お問合せを頂く中で結構多いのがコスメの部分。特にブランクの表面処理について多く頂きます。

弊社Nomadシリーズではブランク成型後に表面を研磨したサンディング後、塗装を行わない無塗装状態でのフィニッシュを採用しています。

ロッドブランクは芯金に高圧で巻き付けたスクリムの表面に、特殊なテープを巻いて焼き入れを行います。この焼き入れの際にスクリムはレジンが溶けて膨張し、逆にテープは収縮する事で圧が増し、焼き入れが完了します。

焼き入れ完了後はこのテープを剥がすわけですが、この際細かく巻かれたテープの痕がブランク表面に横筋のように残ります。これをこのままにしたものが”アンサンド(研磨しない)フィニッシュ”といいます。

Nomadでは表面のテープ痕が残らないくらいまで研磨する”サンディングフィニッシュ”というものを採用しています。

これが生のブランクの状態で、ロッド作りとはここから塗装をしたり、装飾用のカーボンをバット部分に巻き付けたりしてお化粧をしていくわけですが、mibroではより生のブランクを活かしたロッド作りをしていきたいと思い、サンディング処理のみのフィニッシュとしています。20代の頃から愛用していたフェニックスの一部商品やG.Loomisのロッドがそうであったように、最近まで愛用していたNorth Fork Composites社のロッドがそうであるように、なるべく無駄を省いて、ブランク本来のトルク感や繊細さを釣果に繋げていきたいと思ったからです。

実はこの処理方法、ロッド工場には嫌がられますw

研磨という作業は砥石を使ってブランク表面を削る訳ですから細かい傷が残ります。中には結構深い傷もあって破断の原因になるものもあるかもしれません。しかし、表面を塗装したり装飾する事でその傷は見え難いものになります。しかし塗装や装飾をしないという事はブランクの状態がはっきりと見えてしまう訳で、作業のミスはそのまま材料のロスに繋がります。従って熟練の技術者が1本1本精密に作業する必要がある訳で、研磨処理のみというフィニッシュは工場側からしてみれば誤魔化しの利かない製品作りが必要となり、余計な手間や神経を使う作業となります。

サンディング処理にした理由はもちろんそれだけではありません。実は余分な装飾や塗料を使わない事でよりブランクを軽く感じる事が出来ます。例えば同じ重量のロッドを作る場合、構成するパーツが同じなら塗装や装飾を使わない方が重量に余裕があります。つまり塗装やコスメの分をスクリム(カーボン)に割けるので、同じ操作感でもトルクのある特性で余裕のある設計が出来ます。Nomadでは全モデルに丈夫なステンレスフレームのガイドを採用していますが、チタンとの重量差を塗装やコスメが埋めているので非常に軽い操作感で扱えます。

また、コスメや塗装を省略する事と、ガイドをステンレスにする事でコストを抑える事が出来、高性能なロッドをより安価な価格で提供出来るという利点もあります。

難点があるとしたら、塗装や装飾を施したブランクに比べると見た目は綺麗ではない事です。カーボンの柄も装飾用ほど綺麗に揃っている訳ではありませんし、ところどころにスクリムの合わせ目が光って見えたりして、気になる人には受け入れ難いと思います。

そもそもNomadシリーズにおいてはコスメの部分にそれほど拘っていません。リールシートなどは輸入品の為非常に高価ですし、EVAなどもオリジナル形状でそれなりに拘って生産しています。しかしそれらを少しでも安い価格で市場投入したかったので、検品項目の中で外観の部分は多少甘めに設定している部分があります。お金を掛ける部分はしっかり掛ける。必要無い部分は状略してコストを削減する。最初からこうしたポリシーでNomadシリーズの開発に取り組みました。

なのでせっかくご興味を持って頂いたとしても、見た目の部分でもしかしたらご満足頂けないかも知れません。

「32,000円は大金だ、決して安い買い物じゃない」と思う方もいるかも知れません。

そうした方は是非、通販ではなく店頭でよく現物確認されてからご購入頂けますようお願い申し上げます。

また、ご購入後の商品について直接弊社にお問合せを頂く場合がありますが、不具合等に関するご質問はまず、ご購入頂いた販売店様にご連絡頂けますようお願い申し上げます。

ご購入頂いた皆さんが素敵なNomadライフを送れますように・・・。