もうかれこれ25年以上も釣り業界に居るわけですが、やはりこの時期は各メーカーの新製品が気になります。
中でもリールは毎年各メーカーが新技術を投入してくるわけで、メカ好き、道具好きとしては嫌が応にも期待が高まる訳です。
そんな中で、今年最も気になったのはダイワさんのジリオンSV-TW、もうね、見た瞬間にビビッと来ちゃいました。
すっかり代名詞となったTWS(T-Wing System)にTATULAやジリオンよりも軽量コンパクトになったボディ。
34mmSVスプールに90mmハンドルと、スペック的に文句の付けどころがない優等生。
そんなジリオンSV-TWを早速導入してみました。
やっぱりいいですよ。TATULAよりも軽量コンパクト。
見た目もシャープで細マッチョな感じですw
そしてジリオンTWなどと同じ90mmハンドル。
80mmよりもパワフルに巻けて、100mmほどクラッチリターンなどのトラブルも少ない。
それほどビッグベイトは投げないけど、クランクやスピナベなどシャローで巻き抵抗の大きなルアーを多用するアングラーにはとってもバランスの良いハンドルサイズかと思います。
さて、このリールには昨年よりダイワさんが導入しているSV(ストレスフリーバーサタイルだったかな?)スプールというのが搭載されている訳ですが、このスプール、実はかなりやり手なのです・・・。
このジュラルミン製の超軽量なスプール、「とにかくストレスフリーで、ピッチングからフルキャストまで調整なしでバンバン投げてもバックラッシュしません!」なんて謳い文句なのですが、案外ピンと来ませんw
試投会などで触ってみても、確かにバックラッシュしないけど、何がどうなってるのかイマイチよく分からないのです。
かくいう僕も昨年発売されたアルファスSVは2台所有しているのですが、ライトリグなど近距離系の釣りばかりで、いまいちその恩恵を感じる事がなかったのです。
しかし今回ジリオンSV-TWでは、SVスプールの違いをしっかりと感じる事が出来ました。
足元にルアーを落としただけで大バックラッシュするほどにメカニカルブレーキを緩めても、キャスト時にはしっかりとブレーキが効いて、ノーサミングでバックラッシュしないのです。
これまでのリールでもメカニカルブレーキの調整さえしっかりしてれば、サミング無しでもバックラッシュしないのなんて当たり前ではあるのですが、このメカニカルブレーキゆるゆるのスカスカでノントラブルというのはとても不思議な感じです。
巻き物系の釣りにおいて、メカニカルブレーキは巻き感度を妨げる非常に厄介な奴です。出来ればメカニカルは緩めでメインブレーキの方で制動したい所なのですが、それだと飛距離が落ちてしまうので、結局はサミングで調整するしかありませんでした。
そういう意味ではこのSVスプールはとても画期的です。
ピッチングなどの低回転時には立ち上がり良くスムーズに回り、フルキャストした時はしっかりと着水までコントロールしてくれ、正にストレスフリーです。
さて、そんなストレス知らずなジリオンSVの心臓部とも言えるSVスプールを見てみます。
一見いつものインダクトローター。
因みにインダクトローターというのはダイワさんのマグネットブレーキ”マグフォース”(VとかZとかある)のスプール側ギミックで、通常時はスプールに入り込むように収納されていて・・・
高回転時にはサイドプレート内の磁界の中にせり出てくる可変式ローターの事です。
これによって、低回転時にはブレーキ力を抑え、高回転時には本来の強力なブレーキ力を発揮するようになってます。
これまでダイワさんのリールを愛用してきた人には「何をいまさら当たり前の事を語っとんねん」と思うかも知れませんが、ずっと他社さんのリールを使ってきた人の中には”マグブレーキはず~っとブレーキが掛かってるからキャストが伸びずに、ピッチングとかがし難い”と信じてる人もいるので一応説明してみました。
さて、このインダクトローター、これまでのVやZでは遠心力を利用してスライドする方式でした。しかしSVスプールのインダクトローターはツイスト方向に回転するとせり出る仕組みになっています。
ご存知の通りマグネットブレーキは無接点電磁誘導ブレーキ。サイドプレート内に配置された磁石が作る磁界の中を、鉄やコバルトを含まないアルミのローターが高速回転する事で渦電流を生み制動する方式です。(相当ざっくりですがww興味ある方はレンツの法則とか渦電流式ディスクブレーキとかで調べてみてくださいww) キャスト時、高速回転しているインダクトローターはスプールの回転方向から渦電流に引っ張られ、スプールに制動を掛けようとします。その時シャフト側のギミックによりローターは磁界内にせり出され、さらに大きな制動力を生みます。つまり遠心力でせり出す従来のマグフォースと違って、SVスプールでは磁界そのものがインダクトローターを引っ張り出すような方式に変化しているようです。
遠心ブレーキにしろマグフォースにしろ、高回転が収束すると急激にブレーキ力が低下する為に、ピークを過ぎた後半ではメカニカルブレーキにその役目を受け渡します。
しかし、SVスプールはしっかりと減速してからインダクトローターが定位置に戻るので、事実上メカニカルブレーキを殆ど必要としないのではないでしょうか。
こう書くと「SVスプールってブレーキ効き過ぎて飛距離出ないんじゃ?」と思う人がいるかも知れませんが、今回投げたのは1/4ozのスイムジグにトレーラーは大き目のシャッドテールワーム。決してよる飛ぶリグではありませんが、必要充分どころかかなりよく飛ぶなと感じました。
多分SVスプール自体が軽量で、インダクトローターが磁界で最大限に制動力を発揮する為、あまり強い磁力を必要としないのだと思います。
実際この空気抵抗の大きなリグを、巻いたばかりの新品フロロカーボンラインでフルキャストするのに、マグブレーキのダイヤルは10/20、つまりマックスブレーキの半分でまったくストレスなく投げ続ける事が出来ました。
今回はまだラインを巻いて小一時間ほど投げてみた程度なので、それほどこのリールの特性を理解した訳ではないのですが、逆に言えばたった小一時間で得た事も多かったとも言えます。
とにかく軽快なフィーリングでバランスに優れた使い易さが目立ちます。
今シーズンじっくり使い込むのが楽しみなリールです。