月別アーカイブ: 2015年7月

PFR71のベンディングカーブ

PFR71シリーズについて、「HにするかMHにするか悩んでます!」というご質問が多く、この辺り文章や写真(動画)ではなかなか伝わらないのでとても難しいのですが、色んな重さでそれぞれベンドしてみましたので参考になれば幸いです。

 

まず、1ozシンカー4個、つまり28g×4=112g。

PFR71MH

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PFR71H

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このように71MHの方がちょっとだけティップが入るのが見て判ると思います。

 

次に500mlのペットボトル(約500g)

PFR71MH

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PFR71H

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この辺りの重さになると、2本のテーパーの違い、71MHがEXファースト、71Hがモデレート気味なファーストなのがはっきり見て取れます。

 

続いて1ℓ(約1kg)のペットボトル。

PFR71MH

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PFR71H

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71MHの方はティップが入りきり、バット部分の張りが出始める辺り。71Hの方はまだティップが残っており、ベリー部分にもまだ余裕があります。

 

最後に2ℓ(約2kg)のペットボトル。

PFR71MH

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PFR71H

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これぞプログレッシブテーパーという感じの曲りで、EXファーストの71MHがベリーからバットに掛けてスムーズに負荷移動をしてるのが分かります。これによって応力集中し断面が楕円化する事無く、ブランク全体をサスペンションとして使う事が出来るという訳です。71Hの方も無理なくブランク全体で負荷を受け止めているのが判ると思います。重めのウェイトの物を投げるなら71Hの方が向いているというのが、この写真からも見て取れるのではないでしょうか。

ロッド選びの際、一番良いのは実際に見て、触って確かめてもらうのが一番なのですが、今のご時世なかなか難しい部分もあるかと思います。

この記事が少しでもお役に立てればと思います。

Pitchin’ Flip Rodでワイドオープンエリアを。

North Fork Composites     J-Custom2.0  PFRシリーズが正式発表になりました。

http://nfcjapan.exblog.jp/21384512/

それに伴いPFRのご質問も増えて参りましたので、僕なりのPFRシリーズの使用感や使い分けを何回かに分けてご紹介します。

「PFR」はPitchin’ Flip Rodの略、つまりジグやテキサスをカバー周りにフリップする近距離用ロッドという事になるのですが、実は71MHと71Hではベンディングの特性が大きく異なるセッティングになっています。

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71Hの方はレギュラー気味のファースト。重めのジグやテキサスをフリップして、リフト&フォールする為に少し強めのティップを持ちます。ティップでリグを操作し、ベリーで食い込ませるイメージです。56lbのPEラインで3/4~1ozシンカーでブッシュやウィードに滑り込ませるようなハードな釣りでも快適にフリップし続ける快適さと、突然のバイトもしっかり吸収して食い込ませるノリの良さ、溜めておけば魚を浮かせるド級のトルクを併せ持っています。軽さや感度ばかりではなく、スムーズでトルキーなベンディングを併せ持つ高次元な高弾性ブランクnext HMの真骨頂を体感して貰えるロッドです。

71MHはソフトなティップセクションを持つEXファーストアクション。軽量なリグやノーシンカー、バックスライド系のリグでカバーを攻めるのに不可欠な、より日本的なセッティングを施したパワーフィネスピッチングロッドです。71Hがヘビーウェイトを使ったリアクションの釣りなら、71MHはゆっくりとしたフォールで誘うフィネススタイル。さらに食い込みのよいティップから急激にパワーバンドに達する超掛け調子ながら、ベンディングは一点の淀みなくあくまでスムーズ。様々な角度からのキャストになんなく追従し、ムチのような反発力でカバーの奥の奥までリグを滑り込ませます。

もちろんそれだけの事にシリーズ最長となる年月を費やした訳ではありません。HMブランクの特長を最大限活かした、ワイドオープンエリアの中層リトリーブを行う為のレングス、テーパー、バランスを追求したセッティングを模索してきました。

HMブランクの特長はなんといってもその反発の強さ。圧縮したスプリングが解放されるようにベイトを弾き飛ばします。そして高弾性カーボン特有の軽さと感度は、ノー感じになりやすい中層の釣りにおいて、僅かな抵抗や水流、グラスへのタッチといったインフォメーションを正確に伝えてくれます。そしてHMは高弾性でありながらキンキンと弾かず、モッチリと粘りバイトの衝撃を緩和し、違和感を殺します。根掛かり時のライン鳴りの少なさがその証拠だと思います。

数年に及ぶテストを経た現在、オカッパリでの使用ロッドとして非常に登板回数が多いのが71MH。比較的大きなサイズが狙える河川やダムで、スイムジグやチャターベイト、スピナーベイトや大型ミノー、そしてノーシンカースティックベイトなどを使うパワーゲームに使用しています。

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ボートフィッシングであればこの手の釣りはUTRシリーズで行う事が多いのですが、対岸まで飛ばすキャスタビリティ、遠くの中層を感知するセンシティビティ、フルキャストした先でのフッキングレスポンス、流芯から一気に引き剥がすトルクとレングスで71MHを選ぶ事も多いです。

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ウェストボックスの中身はこんな感じw

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プラグは飛距離の出る”スーパーチナイ(NLW)”や、ジャークではなくゆったりとした波動を出すクランキンミノー”グッピー(ストリームデザイン)”。プロトのチャターベイトや”クランキンジグ(NITTI BAIT)”、マルチプライヤーにフックシャープナー、フックにスナップにヤマセンコー(GaryYAMAMOTO)とかなり少なめですが、短時間の釣行ばかりなのでこんな感じです。

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クランキンジグ(NITTI BAIT)のトレーラーはこんな感じ。スイムベイトとパカチャンク、偶にグラブを使う時もあります。スイムベイトやチャンクのテールの振動、ノーシンカーセンコーのただ巻きウォブルを感じながら巻けるのは正直かなり楽しいです。

長年ロッド作りの仕事に携わってきましたが、HMブランクとの出会いは衝撃でした。ただ、非常に高価な素材でもあるので市場でコンプリートの竿を見る事は殆どありません。なんとかHMのブランクの良さを伝える事が出来ればとテストを重ね、ようやく形にする事が出来ました。是非皆さんにも初めて僕がHMブランクを使った時と同じ感動を味わって欲しいです。これまでの高弾性ロッドに対するイメージは全てぶっ飛ぶと思います。