難産

非常に心配していたオリジナル・ロデオドライブですが、
お蔭様で大変ご好評を頂いたようで嬉しい限りです。
非常に難産だったロデオドライブ。
今にして思えば、このルアーがルアー作りの難しさ、楽しさを教えてくれた気がします。
ロデオを作った時、なんか勢いで
「え~い、調子こいてフラットサイドも作っちゃえ!」的な、
安易なノリで始めたのをよく覚えています。
当時、アメリカ製のハンドメフラットサイドは、売れだすとすぐ品質が落ちてしまったり、
気に入ってもすぐ壊れてしまったりと、なかなか安定して投げ続けられる環境ではなかった為、
「よ~し、ここは一発、自分好みの奴作っちゃうゾ♪」みたいな、
かなり安直な理由で作り始めました。
で、
まあいきつくとこは大抵同じですw
「アメリカの奴より浮力を強くして、ゆっくり巻いてもよく動く!
バルサで低重心にしたら、フラッシングもいい感じになるんでわ!」(爆)
で、こんなん作ってみましたw

あかん!
まったくあかん!
ちょっとでもトルク掛けて巻くとあっちへフラフラ、こっちへフラフラ、
オカッパリから1スポットにゆっくりゆっくり通すならいいけど、
ボートからショア撃っていくと、かったるくて、神経持たない・・・。
おまけにマスが集中し過ぎて、投げると凄い勢いで回ってまったく飛ばない・・・。
諦めきれず色々やってると、いくつかの事が見えてくる・・・。
リップが起点になって起きたアクションをテールに伝えても、
テールが水を押し切れず、逆に跳ね返される・・・。
その為ルアーの重心は安定し切れず、ハラホロヒレハレ・・・・・
また、駄目駄目な原因のひとつはコレ。

ロデオに比べて幅の広いリップ。
まあ、これに少しでも多く水を受けて、
アクションの出がいいようにとか、
スローで巻いても動くようにとか、
少しくらいカバー回避性能上がらんかな?とか、
色々妄想膨らませて欲張った結果ですw
(欲張るとロクな事にならんといういい見本です)
で、重心を分散させる為に素材の比重を変えたりとか、
ウェイトやらリップやら吟味していった訳ですが、
その間丸々2年。
途中「釣りロマン」でアメリカロケとか、
テストする機会だけは結構あったので、
今思えば本当に勉強になった時間でした。
そして結局そのフラットサイドは当初の曖昧な目的から多少異なり、
素材はバルサからレッドシダーへ。
ボディもシェイプされ、より自然に水を掴み、切り裂くように。
そしてそのコンセプトも、
・欲張った汎用性は捨て、切り捨てる部分は潔く切り捨てる。
・目的に応じた特性だけを追求していく。
という、道具として本来あるべき形に治まっていったように思います。
思えば(今回思えば多いな!)、
現在のウチの基本理念のような物を作ってくれたような気がします。
そうやって右も左も判らない駆け出しルアービルダーが、
稚拙ながらも七転八倒して作ったフラットサイドクランクは、
「ロデオドライブ」と名付けられました。
ロデオドライブという名前には、あまり意味はありませんw
音の響きというか、音感というか、なんか「疾走感」みたいな物が出せればと名付けました。
ちなみにこの瞬間。
ロデオドライブがハリウッドのセレブ御用達のアレだってのは完全に失念してましたw
2~3日後に思い出したのですが、後の祭りです。
「なんか気に入っちゃったし、もういいか」って感じで今に至りますwww
まあそんな感じで世に出たロデオ君ですが、
ビジネス的にはハッキリ言って失敗でした。
あれだけ人気のあったリトルPTも普通に店頭で見るようになり(すっかり形変わってましたがw)、
スタンフォードもオウサムベイツもクランクコーナーの隅っこでパラパラッと。
嗚呼、みんなもうフラットサイド飽きちゃったのね・・・。
そんな過去を持つロデオ君です。
一部のコアなファンからは熱烈ラブコールを頂きながらも、
今まで作れなかったのはそんな理由です。
ですから今回のリリースはある意味かなりの博打でした。
しかも、今回は強気のB7やスナブと同等の数を作り、
それでも完納出来ずにお店にご迷惑を掛ける程!!(←威張るな!)
申し訳ありませんでしたぁ!!! (←だから威張るな!)
買って頂いた皆様。
本当にありがとうございました。
今回は多くの友人知人、業界人からも、
「ロデオ復活待ってました!」とお声を頂きました。
なんかね、昨年の復活一発目のB7と同じくらい感無量です(涙)。