月別アーカイブ: 2013年6月

ギンギラ3兄弟


最近よく頂く質問に「テネシーシャッドとかブルーバックヘリングとか日本に居るんですか?」というのがあります。

まあ普通に居ないと思います。テネシーシャッドも、スレッドフィンシャッドも、ブルーバックヘリングも。

これら3色、自分は日本の小魚をイメージして使っています。

元々この3色、実はベースとなっている箔処理が違います。

テネシーシャッドは「消銀」というアルミ箔の裏側のようなヌメヌメッと光るシルバー。
アユのような鱗が小さく滑らかな表面の小魚としてイメージしました。

スレッドフィンシャッドは目の粗いホログラム。太陽光をペカペカッと乱反射します。
こちらはオイカワやモロコなど、グリーンバックのキラキラした小魚として。

ブルーバックヘリングは油膜のような紋様のギラギラしたホログラム。少しドギつく乱反射するので、
ハスのようにギラギラした鮮やかな反射をする小魚として使います。

よくハンドメイドのルアーにアルミ箔を貼った物がありますが、このアルミの貼り方にも色々あって、ピカピカ光る表面を貼ったり、反射を抑えた裏面を貼ったり、表面の上からパールを吹いたり、色んな光り方をするように貼られているのを見掛けます。
なぜわざわざそんな事をするのか・・・
それは反射のバリエーションを多く持つ事で、様々な天候や水の色に、広く対応する為だと思います。
基本これら反射系ヒカリモノは晴れた日や、小魚を強く意識した時に有効だと言われますが、天候や水色は一定ではありません。
強く、弱く、少しだけ強く・・・そんな風に状況を見ながらさじ加減を調整出来るよう、様々な技法が生まれたのだと思います。

ではなぜ、わざわざアメリカの小魚の名前を付けるのか・・・
それは単にウチがカブレているからですwww
幼少の頃、アメリカ製のクランクベイト達に魅せられた者の宿命でしょうか、
「アユ」とか「オイカワ」よりも、「テネシーシャッド」とか「スレッドフィンシャッド」とかの方がアガるのですww

あと、ストライクドット(肩やお腹の黒いドット)があった方が「クランクベイト」という感じがするからです。

とまあ、あまりに遠回しなアプローチではありますが、クランクヲタクの作るクランクベイトです。
同じアメ物クランク好きが思わずニヤッとするような部分にこそ、これからも手間を掛けていきたいです。

ちなみにアメリカ人にアユカラーのルアーをあげるととても喜ばれます。
お互い隣の芝生は青く見えるといいますか、見慣れない物に憧れるんですねwww

長くなりましたが、
テネシーシャッド=アユ
スレッドフィンシャッド=オイカワ
ブルーバックヘリング=ハス
というイメージで使って頂けたらと思います。
(実物はまったく違いますがwww)

深く鋭く・・・

すっかりブログほったらかしになってますが、昨日facebookでワームフックの話をポストした所、いくつかご質問を頂きましたので写真入りで解説したいと思います。

まずこちら。
結構前(2006年だか7年だか)になりますが、自分が手掛けさせて貰ったワームフック、
バルキースピアとスキニーリップです。

この2つのフックの特徴は大きく外に開いたポイント(ハリ先)にあります。

現在主流になっているフックの多くはこういう形をしています。

その為、図のようにポイントを一度ワーム上面に貫通させ、もう一度ワーム表面にポイントを埋めて使います。
しかし、この形状、見て判るようにポイントがアイに向いているので、意外にフッキングが難しいです。巧くアイとポイントを間の部分を、ワームが曲がる程強く噛んで反転してくれれば良いですが、大きな口でシンカーごと吸い込まれたらフッキングの際シンカーでこじ開けられた口の隙間からスリップストリームの如くガードされ、すっぽ抜けてしまいます。魚がこっちを向いて泳いできた場合、上顎をブチ抜く可能性はかなり低いと思います。

思えば昔、自分が若い頃は、テキサスリグですっぽ抜けなんてそうそうなかったと思うんです。
今より遥かに鈍重でパワーの無い5.6ftのグラスロッドに伸び伸びのナイロンライン、重くローギアなリール。
それでもよく釣れたのは、単に魚が純粋だったからだけではないと今でも思います。

昔のオフセットフックというのはこういう形状をしていました。

ストレートフックのネックをそのままクランク形状にしただけ。
でも、見て判るようにポイントは外を向いています。
当時からオフセットより高いフッキング率を誇ったのは、現在フリップなどで見直されているストレートフックの方でしたが、ワームがズレ過ぎず、止まり過ぎない為、とても使いやすいフックでした。
この「ストレートの方がフッキング率が高かった」という部分・・・実はポイントの角度にその秘密があります。
ストレートに比べ、アイが内側にクランクしたオフセットフックは、そのオフセット分ポイントの角度が緩やかで、魚の口腔内を浅く抉る事しか出来ませんでした。

そこで当時オーナーばりさんからお話頂き、生の線材からデザインさせて貰ったのがバルキースピアとスキニーリップです。

バルキースピアはクローワームやチューブベイトなどのバルキーワーム用で、オフセットの使いやすさとストレートフックの高いフッキング能力を併せ持つフックとして設計しました。ベイトタックルのシャローカバー用フックです。

スキニーリップはストレートワームなど細い(スキニー)ワームでも形状を崩さず、真っ直ぐに刺せるようにポイントだけをアッパーバランスにして、スピニングタックルでも使えるように細軸ワイヤーを使い、ディープウォーターのオダなどを直撃出来ます。

2種類共に共通しているのは、完全にポイントをワームに埋めて使う事。ポイントを完全に埋める事で高いセルフウィードレス性能と、表面に施したテフロンコートによって摩擦を軽減し、ストレートフック並みの角度を持つアッパーポイントが魚の口腔内を深く、鋭く抉ります。

何度も言いますが、このフックを使う場合、ワーム上面にポイントを抜く必要はありません。よく一度抜いてからポイントを再び刺そうとする人が居ますが、そんな刺し方をしたらワームがまっすぐ刺さらず、綺麗に泳がないばかりか、曲がったワームがかえってフッキングの妨げになります。
どうしても心配な人は、ポイントを一度貫通させ、再び元に埋め戻してください。ワームにフックの通る道を作る事でフックが貫通しやすくなります。

バスの口腔内はとても大きく、大型魚になるとまるで壁面のようになっています。
そこにフックを貫通させるには従来のエサ釣りの理論は通用しません。(ワームはエサより身切れが悪いので)

平面に掛けれるギャフのようなフックが必要です。


こんな形状ではまず難しいのではないでしょうか。