深く鋭く・・・

すっかりブログほったらかしになってますが、昨日facebookでワームフックの話をポストした所、いくつかご質問を頂きましたので写真入りで解説したいと思います。

まずこちら。
結構前(2006年だか7年だか)になりますが、自分が手掛けさせて貰ったワームフック、
バルキースピアとスキニーリップです。

この2つのフックの特徴は大きく外に開いたポイント(ハリ先)にあります。

現在主流になっているフックの多くはこういう形をしています。

その為、図のようにポイントを一度ワーム上面に貫通させ、もう一度ワーム表面にポイントを埋めて使います。
しかし、この形状、見て判るようにポイントがアイに向いているので、意外にフッキングが難しいです。巧くアイとポイントを間の部分を、ワームが曲がる程強く噛んで反転してくれれば良いですが、大きな口でシンカーごと吸い込まれたらフッキングの際シンカーでこじ開けられた口の隙間からスリップストリームの如くガードされ、すっぽ抜けてしまいます。魚がこっちを向いて泳いできた場合、上顎をブチ抜く可能性はかなり低いと思います。

思えば昔、自分が若い頃は、テキサスリグですっぽ抜けなんてそうそうなかったと思うんです。
今より遥かに鈍重でパワーの無い5.6ftのグラスロッドに伸び伸びのナイロンライン、重くローギアなリール。
それでもよく釣れたのは、単に魚が純粋だったからだけではないと今でも思います。

昔のオフセットフックというのはこういう形状をしていました。

ストレートフックのネックをそのままクランク形状にしただけ。
でも、見て判るようにポイントは外を向いています。
当時からオフセットより高いフッキング率を誇ったのは、現在フリップなどで見直されているストレートフックの方でしたが、ワームがズレ過ぎず、止まり過ぎない為、とても使いやすいフックでした。
この「ストレートの方がフッキング率が高かった」という部分・・・実はポイントの角度にその秘密があります。
ストレートに比べ、アイが内側にクランクしたオフセットフックは、そのオフセット分ポイントの角度が緩やかで、魚の口腔内を浅く抉る事しか出来ませんでした。

そこで当時オーナーばりさんからお話頂き、生の線材からデザインさせて貰ったのがバルキースピアとスキニーリップです。

バルキースピアはクローワームやチューブベイトなどのバルキーワーム用で、オフセットの使いやすさとストレートフックの高いフッキング能力を併せ持つフックとして設計しました。ベイトタックルのシャローカバー用フックです。

スキニーリップはストレートワームなど細い(スキニー)ワームでも形状を崩さず、真っ直ぐに刺せるようにポイントだけをアッパーバランスにして、スピニングタックルでも使えるように細軸ワイヤーを使い、ディープウォーターのオダなどを直撃出来ます。

2種類共に共通しているのは、完全にポイントをワームに埋めて使う事。ポイントを完全に埋める事で高いセルフウィードレス性能と、表面に施したテフロンコートによって摩擦を軽減し、ストレートフック並みの角度を持つアッパーポイントが魚の口腔内を深く、鋭く抉ります。

何度も言いますが、このフックを使う場合、ワーム上面にポイントを抜く必要はありません。よく一度抜いてからポイントを再び刺そうとする人が居ますが、そんな刺し方をしたらワームがまっすぐ刺さらず、綺麗に泳がないばかりか、曲がったワームがかえってフッキングの妨げになります。
どうしても心配な人は、ポイントを一度貫通させ、再び元に埋め戻してください。ワームにフックの通る道を作る事でフックが貫通しやすくなります。

バスの口腔内はとても大きく、大型魚になるとまるで壁面のようになっています。
そこにフックを貫通させるには従来のエサ釣りの理論は通用しません。(ワームはエサより身切れが悪いので)

平面に掛けれるギャフのようなフックが必要です。


こんな形状ではまず難しいのではないでしょうか。