恩返し

東北の人が優しいのは、寒い冬が長いから。
そう聞いた事があります。
身を寄せ合う事、助け合う事の大切さが身に染みているからと・・・。
突然訪問する僕を、いつも暖かく迎えてくれる貴方がたを見て、確かにそう思います。
比較的早い段階で安否を知らせてくれた岩手の友人は、
ご自身も被災されているにも関わらず、
宮城の沿岸部に住む友人の事を心配していました。
昨日になってようやく消息の判明した宮城の友人もきっと、
ご自分より困っている人を探しているでしょう。
石巻市で水産関係の仕事をしている友人は、
家族を乗せて裏山に逃げたそうです。
町が津波に飲まれる様を見つめ、避難所に向かう事も出来ず、
一週間もの間飲食もままならない中で、家族を守っていたと思います。
それでもきっと、「ご心配掛けました~!」と笑うんでしょうね。
僕は再開した時、彼らに笑顔を返す自信がありません。
僕は地震の翌日からルアー作りを再開しました。
友人たちの無事を信じる気持ちも強かったのですが、
何よりこれから大変だと思ったからです。
災害はもちろん、その瞬間も大変ですが、
その後が本当に大変です。
僕は彼らに励まされ、助けられ、今こうしています。
「彼らに恩返しが出来る!」
そう思った瞬間、スプレーガンを握る事が出来ました。
駄目だった友人も居ましたが、彼らの住んだ町、
彼らの愛した隣人達に、少しでも手助けが出来れば・・・と思っています。
僕に出来る事はルアー作り。
自分に出来る事、自分にしか出来ない事をして、
強くて優しい彼らへのご恩を返していくつもりです。
いつかまた、皆さんと肩を叩きあって「釣りっこ談義」に盛り上がる事。
それを目標にして、頑張っていきたいと思います。