春のクランキンシーズンがとうに終わった頃のリリースとなってしまったワーロック2.5ですが、そんな事は関係ないとばかりに、各地から沢山の釣果報告を頂き嬉しい限りです。
通常、シャロータイプのクランクベイトには早春のシャロー撃ちのイメージが強くあり、スポーン以降はソフトベイトやチャターベイトにメインパターンを譲るという傾向があるのですが、このワーロックを始め、先の漁師クランクや次のチーターの3兄弟にはアフターからサマーパターンへ移行する時期にも強い効果を発揮するようなデザインを行ってきました。
そのキーワードは「中層を釣る」。
3兄弟には、通常のボトムノックを主眼とした強いクランキン(春に有効)の他、軽いリトリーブ抵抗による高速リトリーブ(クリアウォーターに有効)。そして「抜いたリトリーブ」による中層スローリトリーブによって水深のあるレンジの中層を移動する魚に口を使わせる要素と、3つの運用方法を併せ持たせてあります。
「抜いたリトリーブ」とはある程度潜行させた後で巻きトルクを抜いて、半分惰性で進んでいるようなアクションの事で、ハンドメイドクランクを愛用するアングラー達の間で「弛ませ巻き」など様々な名前で呼ばれてきたリトリーブ方法の事です。
本来この巻き方はバルサやレッドシダーなどのウッド製クランクベイトの得意技で、トルクを抜いて巻いている時もそこそこハイピッチなアクションを保ちつつ、一定層をゆっくり巻いてくる事で中層の魚に思わず口を使わせてしまうというもの。
本来カバーやボトムに当てていく為のクランクベイトに、たとえ削れ易くても敢えて軽量なFRP(基盤)リップを使うのは、この抜いたリトリーブ時の運動性能を確保する為だと思っています。他所は知りませんが、少なくともウチはそうでした。
そうした運動性能の高いクランクベイトはスローに巻いても勝手にプリプリ動き、リトリーブトルクを抜いているのでラインやルアーが水中にまき散らす音は少なめ。魚へのプレッシャーも低くなる為、同じスポットから複数本の魚を連続で引き出したり、食い損ねた魚をもう一度バイトに持ち込む事さえ少なくありません。まして、カバーなどがない中層となると単純にルアーの力と巻き方による部分だけで釣果が決まってくるのです。
アフターからサマーパターンへ移行していくフィールドで、中層を移動する良型を狙うにはそれなりの技量も必要です。特にミドストやトップウォーターが使い難い風の強い日や、雨などによって濁りが強い日は、中層を巻けるクランクベイトを春より少し弱めに巻いてみてください。
リトリーブのイメージとしては、ルアーの振動を一番感じるスピードを10とすると、そこから抜いて7~6くらいの巻きトルクに落として巻いてみてください。ルアーの動きが感じられず不安な人は、ロッドをルアーに向けて角度を水平に保って巻いてみてください。水面に出たラインが重さでちょっとたわむくらい。ルアーの動きでラインが左右にプルプル震えるのを見ながら巻けば、ルアーの動きを視覚的に感じる事が出来ます。
慣れたらロッドの角度でルアーの潜行深度を変える事が出来るので、オカッパリでも小場所をじっくり攻めるクランキンが出来ると思います。ルアーの明滅をチカチカ見てると突然魚が襲い掛かってくるのはとてもエキサイティングですよ。
ハイシーズンのちょっと上のクランキン、是非試してみてください。